2000 Fiscal Year Annual Research Report
正常および病的状態におけるアドレノメデュリンの生体内分布に関する病理学的研究
Project/Area Number |
10218205
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
浅田 祐士郎 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70202588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 金太 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60325735)
丸塚 浩助 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00239154)
住吉 昭信 宮崎医科大学, 医学部, 副学長 (80038695)
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Keywords | アドレノメデュリン(AM) / PAMP / ヒト生体内分布 / 免疫組織化学 / 消化管粘膜 / 抗菌作用 / 培養ヒト内皮細胞 / 血液凝固・線溶系 |
Research Abstract |
平成11年度までに、アドレノメデュリン(AM)に対する単クローン抗体を作製し、ヒトの正常組織におけるAMの分布を再検討した結果、AMは内分泌系組織のみならず、心臓、血管、腎に存在し、さらに消化器・呼吸器・生殖器の粘膜上皮や皮膚にも分布することを新たに見いだした(Histochem.Cell Biol.,112:185-191,1999)。本年度はさらに詳細な分布を検討し、特に、腸管粘膜上皮においては、表層の粘液細胞に局在し、同部位にはPAMPも局在していることを見いだした。これらのAM/PAMPの分布から、腸管内の感染防御系への関与が推察されたため、AMおよびPAMPの大腸菌への抗菌作用を検討した。AM/PAMPともこれまで知られていた抗菌作用を有するペプチドであるDefensin familyよりも強い抗菌作用を有していることを明らかにした。また、腸管上皮においてDefensinと異なる分布をしていることから、腸管においてはDefensinと抗菌作用という面においては役割分担していることが推察された(投稿中)。現在、種々の病態(循環障害、炎症、腫瘍など)、特に動脈硬化病変(大動脈、冠状動脈)における組織・細胞内でのAMの発現・局在を、病理組織標本(剖検症例・生検・手術標本)、各種の疾病動物モデルおよび培養細胞を用いて検討中である 一方、AMが大動脈内皮細胞においてapoptosisを抑制し、apoptosisに伴う組織因子(TF)の発現を濃度依存性・時間依存性に抑制すること。外因系凝固経路阻害因子(TFPI)の分泌を増強する等の、AMの血液凝固系への関与を明らかにした(投稿中)。また、内皮細胞における各種凝固系・線溶系因子の関与を検討し、AMは内皮細胞からのアンチトロンビンとウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータの分泌を促進することを見いだした(国際動脈硬化学会・国際AM/PAMPシンポジウムにて発表)。さらに、各種培養内皮細胞におけるAMの作用を検討した結果、培養内皮細胞の起源(場所)によってAMによるTF/TFPIの分泌・産生が異なることを明らかにした(投稿準備中)。現在、これら凝固・線溶系因子の蛋白・遺伝子発現を新規に購入したイメージアナライザーを用いて解析中である。
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