2002 Fiscal Year Annual Research Report
中枢におけるアドレノメデュリン及び関連ペプチドの局在とその作用
Project/Area Number |
10218210
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 淳 産業医科大学, 医学部, 助手 (00330978)
山下 博 九州栄養福祉大学, 食物栄養学部, 教授 (00030841)
|
Keywords | アドレノメデュリン / 血液脳関門 / 血管内皮細胞 / 脳神経 / 脳脊髄液 / タイトジャンクション / ストレス |
Research Abstract |
アドレノメデュリンは、ヒト副腎髄質由来の褐色細胞腫から1993年に北村らにより発見された抹消血管拡張性の降圧ペプチドである。本研究では、中枢神経系に存在するアドレノメデュリンの生理的意義を明らかにすることを目的とする。さらに、血液脳関門(Blood Brain Barrier : BBB)を構成する脳血管内皮細胞でアドレノメデュリンが大量に産生・分泌されていることを我々は見出し、BBBでのアドレノメデュリンの生理作用について検討を行っている。本年度の成果は以下の通りである。 (1)ネンブタール麻酔下ラットの頸静脈、頸動脈および下大静脈から採血して、脳循環血および体循環血におけるアドレノメデュリン濃度を測定したところ、頸静脈からの採血中アドレノメデュリン濃度がもっとも高かった。脳血管内皮細胞でアドレノメデュリンが大量に産生され、血管内腔側に分泌されていることを示唆するものである。 (2)吸入麻酔(イソフルレン)下のラット脳脊髄液中のアドレノメデュリン濃度を測定したところ、循環血液中の濃度よりも低かった。ラット脳脊髄液中のアドレノメデュリン濃度はエーテル麻酔下では吸入麻酔下に比較して有意に増加した。また、2%食塩水飲水負荷、菌体毒素であるエンドトキシンの腹腔内投与により有意に増加した。 (3)ラット脳血管内皮細胞の培養による人工的BBBを作成し、培養液中にアドレノメデュリンを投与すると電気抵抗を指標とするBBBの物質透過性は増加する。この時の血管内皮細胞間のタイトジャンクションを形成するタンパク分子(Claudin-1、Occludin、ZO-1)の変動をウエスタンブロット法で検討したところ、変化はなかった。タイトジャンクションの増加は、機能的な変化が考えられた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kis, B., et al.: "Cerebral endothelial cells are a major source of adrenomedullin"Journal of Neuroendocrinology. 14. 283-293 (2002)
-
[Publications] Kis, B., et al.: "Adrenomedullin and migraine"Headache. 42. 1064-1065 (2002)
-
[Publications] 芹野良太 他: "アドレノメデュリンと血液脳関門"血管. 25. 165-169 (2002)
-
[Publications] Ueta, Y., et al.: "The gene expression in the supraoptic nucleus"Microscopy Research and Technique. 56. 158-163 (2002)
-
[Publications] Yamashita, H., et al.: "Electrophysiological and molecular properties of the oxytocin-and vasopressin-secreting systems in mammals"Hormones, Brain and Behavior. 4. 1-49 (2002)
-
[Publications] Kis, B., et al.: "Adrenomedullin, an Autocrine Mediator of Blood-Brain Barrrier Function"Hypertens Res. (in press).