2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい炎症・細胞増殖の調節因子としてのアドレノメデュリンの役割
Project/Area Number |
10218211
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
南野 直人 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 部長 (50124839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 剛 国立循環器病センター研究所, 研究機器管理室, 室員 (50300976)
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Keywords | アドレノメデュリン / 炎症 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 細胞増殖 / サイトカイン / カルシトニン受容体活性化ペプチド / カルシウム低下作用 / 皮膚 |
Research Abstract |
アドレノメデュリン(AM)と炎症や細胞増殖との関連を明らかにするため、ラット新生児皮膚の初代培養線維芽細胞と角化細胞について検討を行った。AMは1%FCS存在下で線維芽細胞の増殖を用量依存的に抑制した。線維芽細胞ではAM産生がダイナミックに制御されるのに対して、角化細胞ではほとんど変動しなかった。線維芽細胞のAM受容体はAM特異的であるが角化細胞の受容体はカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)特異的であるため、局所で産生されるAMは線維芽細胞を標的とし、各種サイトカイン、成長因子の産生調節、線維芽細胞の増殖抑制、血管弛緩などを通して皮膚機能を調節すると推定された。 ブタ脳のペプチド画分を対象として腎上皮細胞株のcAMP産生刺激活性を指標とする探索を行った結果、既知ペプチド以外の活性ピークが認められ、この画分について精製を繰り返し、最終的に50pmolのペプチドを単離できた。構造解析の結果、38アミノ酸よりなりC末端アミド構造と分子内SS結合を有する新規ペプチドの全構造を決定した。本ペプチドは構造的にCGRPに類似するが血圧降下活性は示さず、むしろ血中カルシウム濃度を低下させた。ブタにおいてAM、CGRPなどの受容体(CRLR)と受容体活性調節蛋白質(RAMP)のcDNAを同定し、受容体特異性などを検討したところ、ヒトとの違いは認められなかった。本ペプチドはAM、CGRP受容体であるCRLR・RAMP系を活性化せず、カルシトニン受容体をカルシトニンより強力に刺激するため、カルシトニン受容体活性化ペプチド(CRSP)と命名した。AMを含むCGRPスーパーファミリーには3種のペプチドが存在するが、CRSPの発見によりペプチド、受容体の多様性が再認識され、より広範な機能を担うことが示唆された。
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[Publications] Y.Imai, N.Minamino, et al.: "Resistance to neointimal hyperplasia and fatty streak formation in mice with adrenomedullin overexpression"Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.. 22. 1310-1315 (2002)
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[Publications] N.Minamino, K.Kikumoto, et al.: "Regulation of adrenomedullin expression and release"Microsc.Res.Techniq.. 57. 28-39 (2002)
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[Publications] K.Kikumoto, N.Minamino, et al.: "Specificity of porcine calcitonin receptor and calcitonin receptor-like receptor in the presence of receptor-activity-modifying proteins"Hypertens.Res.. 26. S15-S23 (2003)
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[Publications] T.Katafuchi, N.Minamino, et al.: "Calcitonin receptor-stimulating peptide, a new member of the calcitonin gene-related peptide family : Its isolation from porcine brain, structure, tissue distribution and biological activity"J.Biol.Chem.. (in press).