1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10219201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 裕穂 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10165293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 拓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40272009)
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Keywords | 液胞 / DNアーゼ / 核DNA / システインプロテアーゼ / ヒャクニチソウ / 管状要素分化 / 細胞死 / プロテアソーム |
Research Abstract |
本年度は、ヒャクニチソウ葉肉細胞から管状要素への分化転換系を用いて、液胞の崩壊機構、液胞内への分解酵素のターゲッティング機構、さらには液胞崩壊後の分解酵素の働きを明らかにすることを目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1.液胞崩壊機構の解析: 液胞崩壊機構を探るために、様々な阻害剤を用いた解析を行った。その結果、プロテアソームの阻害剤が特異的に液胞崩壊を遅らすことが明らかになり、液胞崩壊に対するプロテアソームの関与が示唆された。 2.液胞内分解酵素の働きの解析: ヒャクニチソウ管状要素分化の細胞死過程で特異的に現れるS1タイプDNアーゼの活性とタンパク質発現のタイムコースを調べた。その結果、活性、タンパク質とも自己分解の直前に出現することが明らかになった。次に、管状要素の液胞崩壊が核分解にエッセンシャルかどうかを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて調べた。その結果、液胞崩壊以前には核DNAの分解はほとんど起こらないが、液胞崩壊後10分以内に核内DNAはほぼ完全に分解されることが明らかになり、液胞崩壊が核DNAの速やかな分解を引き起こすことが示された。それに対して、管状要素以外の細胞の液胞が崩壊しても、核DNAの分解は起こらなかった。したがって、管状要素特異的なDNアーゼが液胞内に蓄積し、液胞崩壊後速やかに働くことが明らかになった。さらに、システインプロテアーゼ遺伝子の発現をZCP4プロモーターにβグルクロニダーゼをつないだ遺伝子をシロイヌナズナに導入することで調べた。その結果、この遺伝子は管状要素にのみ特異的に発現することが明らかとなり、他の細胞死には関与していないことが示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Usuda, H.: "Development of sink capacity of the "storage root" in a radish cultivar with a high ratio of "storage root" to shoot"Plant Cell Physiol.. 40. 369-377 (1999)
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[Publications] Tokuji, Y: "A rapid method for transformation of carrot (Daucus carota L.) by using direct somatic embryogenesis"Biosci. Biotechnol. Biochem.. 63. 519-523 (1999)
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[Publications] Tandon, P.: "Incorporation of fluorescence-conjugated anti-mouse immunoglobulin G into permiabilized Nicotiana tabacum BY-s cells"Plant Sci.. 140. 63-69 (1999)
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[Publications] Usuda, H.: "Development of sink capacity of the "storage root" in a radish cultivar with a low ratio of "storage root" to shoot"Plant Cell Physiol.. 40. 1210-1218 (1999)
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[Publications] Shinohara, N.: "Isolation of a vascular cell wall-specific monoclonal antibody recognizing a cell polarity by using a phage display subtraction method"Proc. Natl. Acad Sci. USA.. (in press). (2000)
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[Publications] Hiwatashi, Y.: "Tissue-specific localization of mRNA for carrot homeobox genes, CHBs"Plant Cell Physiol. (in press). (2000)
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[Publications] 福田裕穂: "維管束の分化"植物細胞工学シリーズ12. 12. 212-222 (1999)
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[Publications] 福田裕穂: "植物における形態形成―植物から学ぶしくみ"生体の科学. (印刷中). (2000)