1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物と酵母における液胞形態形成及び液胞タンパク質輸送に関与する遺伝子の取得と解析
Project/Area Number |
10219205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹川 薫 香川大学, 農学部, 助教授 (50197282)
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Keywords | 液胞 / 分裂酵母 / プロテアーゼ / 糖タンパク質 / P13-キナーゼ / CPY |
Research Abstract |
液胞は酵母及び植物細胞において様々な機能を果たしていることが明らかになりつつある。出芽酵母において液胞へのタンパク質輸送に欠陥を示すvps変異株の解析から40種類以上もの遺伝子が、液胞タンパク質輸送に関与していることが明らかにされている。しかしながら分裂酵母においては液胞へのタンパク質輸送に関する機構は全く知られていない。 そこで分裂酵母の液胞タンパク質マーカーとしてカルボキシペプチダーゼY(CPY)遺伝子を単離して、本酵素の液胞への輸送機構について解析を行った。その結果、分裂酵母CPYは出芽酵母など他起源の酵母CPYとは異なり、高等な植物などと同様にヘテロダイマーとして存在することを明らかにした。液胞へのCPYの輸送には高等動物とは異なり糖鎖部分は関与しないが、その糖鎖はERで合成される場合のタンパク質のフォールディングに重要であることがわかった。またCPYへの液胞への輸送シグナルはタンパク質のプロペプチド部分に含まれていることがわかった。さらに分裂酵母CPYが誤って細胞表層へとミスソートされてしまう変異株を多数取得することができた。これらの変異株の中には、既に出芽酵母において液胞へのタンパク質輸送に関与することが知られているVPS34,VPS4,VPS5,VPS11,VPS19,VPS45などが含まれていることがわかり、これらのタンパク質が生物種を越えて広く真核生物のタンパク質輸送に関与することを明らかにすることができた。 CPYやインベルターゼなどの分裂酵母における糖タンパク質の分泌に欠陥を示す変異株を取得した。これらの変異株を相補する遺伝子の中には、出芽酵母のERからゴルジ装置のタンパク質の輸送に必須なErd1タンパク質や、ゴルジ間のタンパク質輸送に関与する低分子量G-タンパク質のYpt6などのホモログ遺伝子であることがわかり、分裂酵母のER、ゴルジから液胞または細胞表層へのタンパク質の分泌機構を解析する系を確立することができた。
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[Publications] Kaoru Takegawa: "Isolation and characterization of an invertase and its repressor genes from Schizosaccharomyces pombe." Biochem.Biophys.Res.Commun.245. 246-253 (1998)
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[Publications] Kaoru Takegawa: "Isolation and characterization of high-osmorarity-sensitive mutants in fission yeast." J.Bacteriol.180. 5038-5043 (1998)
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[Publications] Kaoru Takegawa: "Cell-surface galactosylation is essential for non-sexual flocculation in Schizosaccharomyces pombe." J.Bacteriol.181. 1356-1359 (1999)
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[Publications] Kaoru Takegawa: "分裂酵母におけるガラクトース含有糖鎖の生合成機構" 化学と生物. 37. 32-39 (1999)
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[Publications] Kaoru Takegawa: "Nystatin effects on vacuolar function in Saccharomyces cerevisiae." Biosci.Biotechnol.Biochem.(in press). (1999)