1999 Fiscal Year Annual Research Report
液胞ATPaseの活性調節と液胞機能のダイナミックス
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10219206
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
安楽 泰宏 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20012643)
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Keywords | 酵母 / 液胞 / V-ATPase / VMA3遺伝子 / VIS1遺伝子 / FK506 |
Research Abstract |
1)研究代表者らは,現在までに、V-ATPaseを構成する13種のサブユニットの構造遺伝子を明らかにし、それらの遺伝子のいずれか1つが欠損しても、酵素活性が失われ,変異株はCa^<2+>感受性の表現型を示すことを見いだしてきた。本年度の研究では,昨年度までに分離取得したvma3変異株のCa^<2+>感受性を抑圧する劣性抑圧suv変異株の相補性テストを行うかたわら,免疫抑制剤FK506の添加によるCa^<2+>感受性の増強機構を明らかにする実験を開始し、以下の成果を修めた. vma3変異株を親株として,FK506超感受性変異株の分離を試み,vis1変異株(vma3-dependent,immunosuppressant-sensitive mutant)を同定した.このvma3依存性vis1変異株は0.1μg/mlFK506の添加により増殖を停止した.多コピー型genomic DNA libraryを用いて,VIS1遺伝子本体および多コピー抑圧遺伝子としてUBA1遺伝子(ユビキチン活性化酵素),UBP3遺伝子(脱ユビキチン化酵素)を同定した.Vis1pは214アミノ酸残基からなる新しい膜タンパク質であり,N-末端領域に膜貫通ドメインを持ち,C-末端領域にmyristylarion siteを含むことが判明した.興味深いことに,vma3ubp3二重変異株はvma3vis1二重変異株と同様にFK506に対して超感受性の表現型を示した.現在,Vis1pの細胞内分布およびその新規の細胞機構に関する生化学的研究を続行している. 2)かねてより研究を重ねていた,V-ATPaseのin situプロトンポンプ活性を測定するための新しい電気生理学的システムを完成させ,酵素の特性を記述することができた.この方法は,特殊な培養法により,巨大な液胞(直径20μm)をつくり,インタクト液胞を単離後,patch clamp法により,ATP依存性の液胞内腔への電流を測定するシステムである.生理的条件下に100pAの内向き電流の発生が観測され、そのときのH^+/ATP比が3.5+0.3であることを示した.この結果から,V-ATPaseが生理的に働くプロトンポンプであることが証明された(J.Biol.Chem.,1999年12月号).
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Research Products
(1 results)