2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10219208
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
稲垣 善茂 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50280764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 滋 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30012777)
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Keywords | 液胞 / アサガオ / マルバアサガオ / アントシアニン色素 / Pr遺伝子 / Mg遺伝子 / Na^+ / H^+ exchanger / クラボノイド 3′-ヒドロキシラーゼ |
Research Abstract |
液胞は貯蔵・空間充填・隔離/解毒・分解など植物が行う生命活動における重要な機能を司ることが分かっているが、花の主要色素であるアントシアニンの液胞への輸送と貯蔵に関する分子レベルでのメカニズムは何ら明らかにされてはいない。そこで本研究では、アントシアニンに対する液胞の機能と役割を総合的に明らかにすることを目的とする。本年度は以下のことを明らかにした。1)紫地の花弁に青色のセクターが入る易変性変異purple-mutable(pr^m)をもつアサガオと、青い花を咲かせるその生殖細胞復帰変異体germinal revertant(Pr^r)の遺伝学的差異を用いて既にPr遺伝子が液胞型のNa^+/H^+ exchanger遺伝子であることを明らかにしている。本年度はこのPr遺伝子の転写産物の発現パターンを解析する目的で、ツボミから開花するまでタイムコースをとってPr遺伝子転写産物の発現量を解析したところ、このPr遺伝子は開花12時間程度前に一過的かつ急激に多量のmRNAを発現していることが分かった。また、このPr遺伝子はアサガオゲノム中に2コピー存在していたことから、そのホモローグを単離し、塩基配列を決定して、その発現をRT-PCRによって解析したところ、2コピー目のPr遺伝子ホモローグは花弁、がく、葉、茎などPr遺伝子が発現していた各組織において、RT-PCRによってもその発現は確認できなかった。さらにPr遺伝子と他のアントシアニン色素生合成経路の構造遺伝子群の発現パターンを比較したところ、Pr遺伝子は今まで明らかになっているそれら構造遺伝子群とは明らかに違った制御を受けていることを示す結果を得た。この結果からPr遺伝子のように開花時花弁細胞でのイオン動力学に関与する未知遺伝子群の存在が示唆された。2)アサガオとマルバアサガオより同定・単離したMg(Magenta)遺伝子の本体と考えられるF3′H(Fravonoid 3′-hydroxylase)遺伝子の構造解析を行った結果、アサガオのmg^-変異体では点突然変異が、またマルバアサガオのmg^-変異体では、トウモロコシのAc類縁のトランスポゾンTip201が挿入されていた。さらに、ノーザン・ハイブリダイゼーション解析の結果、アサガオF3′H遺伝子は、白花を咲かせ、既知のアントシアニン色素合成系遺伝子群転写産物の蓄積が観察されず、転写調節因子に劣性の変異を持つと考えられているc-1変異体においても、全く発現していなかったことも明らかになった。この結果はMg遺伝子が今まで明らかになっているそれら構造遺伝子群と同じ制御を受けていることを示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Shiokawa,Y.Inagaki, et al.: "The functional expression of the CHS-D and CHS-E genes of the common morning glory (Ipomoea purplea) in ……"Plant Biotech. 17. 203-210 (2000)
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[Publications] S.Fukada-Tanaka,Y.Inagaki, et al.: "Colour-enhancing protein in blue petals."Nature. 407. 581 (2000)