2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10219208
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
星野 敦 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (80312205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 滋 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30012777)
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Keywords | 液胞 / アントシアニン / 花色 / pH / アサガオ / Na^+ / H^+exchenger |
Research Abstract |
液胞は植物が行う生命活動における重要な機能を司ることが分かっているが、植物二次代謝産物、とくに花の主要色素であるアントシアニンの液胞への輸送と貯蔵、呈色に関する遺伝子レベルでの解析は進んでいない。本研究ではアサガオを材料にして、これらの過程に関わる遺伝子などを単離・同定して花色との関連を解明し、液胞の機能と役割について総合的に明らかにすることを目的としている。 野生型のアサガオは鮮やかな青色花を咲かせ、アントシアニンが蓄積する花弁の表層細胞のpHは、開花に伴い一過的に6.6から7.7程度に上昇するが、purple変異体ではこの上昇幅が小さいために紫色の花を咲かせる。昨年度までに、Purple遺伝子は液胞型Na^+/H^+exchengerをコードすることを明らかにしており、本年度は液胞内pHと花色の関連をさらに追及し、下記の知見を得た。 1)ペチュニアより相同遺伝子cDNAを単離し、開花に伴う時間的発現パターンを検討した。その結果、ツボミおよび開花した花でも相同遺伝子の発現が見られたが、アサガオのような一過的な発現の上昇が開花時に存在しないことが明らかになった。この結果は、植物種により液胞pHの制御が異なることを示唆する。 2)purple変異体の花弁でも開花時のpH上昇が0.5程度は起こることから、Purple遺伝子のほかにも開花時に液胞のpHを押し上げる分子の存在が示唆されている。そこで花弁細胞内での陽イオン動態に関わる一連の遺伝子のクローニングを行い、細胞膜型Na^+/H^+ exchanger、液胞型H^+-ATPase、H^+-PPiaseなど10種の全長cDNAおよびcDNA断片を獲得した。 3)Purple遺伝子産物の、細胞内局在を免疫電子顕微鏡法による検討を行い、花弁の第一表層細胞の液胞膜上に特異的に存在すると思われる結果を得た。
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[Publications] A. Hoshino: "Gene duplication and mobile genetic elements in the morning glories"Gene. 265. 1-10 (2001)
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[Publications] S. Fukada, Tanaka: "Simplified transposon display (STD) : a new procedure for isolation of a gene tagged by a transposable element belonging to the Tpn1 family in the Japanese morning glory"Plant Biotech.. 18. 143-149 (2001)
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[Publications] T. Yamaguchi: "Genes encoding the vacuolar Na+/H+ exchanger and flower coloration"Plant Cell Physiol.. 42. 451-461 (2001)
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[Publications] K. Toki: "Acylated pelargonidin 3-sophoroside-5-glucosides from the flowers of the Japanese morning glory cultivar 'Violet'"Heterocycles. 55. 1241-1248 (2001)
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[Publications] K. Toki: "A novel acylated pelargonidin 3-sophoroside-5-glucosides from greyish-purple flowers of the Japanese morning glory"Heterocycles. 55. 2261-2267 (2001)
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[Publications] N. Ishikawa: "The transposon Tip100 from the common morning glory is an autonomous element that can transpose in tobacco plants"Mol. Gen. Genet.. 266. 732-739 (2002)
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[Publications] 仁田坂英二: "アサガオの連鎖地図とトランスポゾンディスプレイ"細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ. 14. 179-185 (2001)
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[Publications] 飯田 滋: "特集にあたって:(特集:植物色素の生化学と遺伝学)"蛋白質・核酸・酵素. 47. 197-199 (2002)
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[Publications] 星野 敦: "花を彩る遺伝子:(特集:植物色素の生化学と遺伝学)"蛋白質・核酸・酵素. 47. 210-216 (2002)
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[Publications] 星野 敦: "アサガオ花弁の液胞pH上昇と青色化"細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ 17. (印刷中).