1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10220207
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 仁 理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, チームリーダー(研究職) (40183769)
|
Keywords | Islet-3 / 中脳形成 / 中脳・後脳境界 / diffential display / LIM / ホメオドメイン蛋白 / 領域特界化 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
Islet-3のmRNAは、ゼブラフィッシュ胚で受精後15時間から17時間目の間に、眼と中脳視蓋部に限局して発現し、この領域の特異化に関与すると考えられた。Islet-3のドミナント・ネガティブ変異体を使った解析によって、Islet-3は眼の形成には直接的に関与するが、中脳・後脳境界部の形成には、中脳・後脳境界部の発達を促進する中脳シグナルの発現を制御することを通じて間接的に関与することが示唆された。中脳・後脳境界部は、中脳と小脳の形成においてオーガナイザーの役割を果たすと考えられている。この領域の形成の分子機構をより深く理解するために、Islet-3によって発現制御を受ける新規因子の探索を行った。Ordered Differential Display法(ODD)を用いて、正常胚とIslet-3の機能を抑制した胚の中脳と中脳・後脳境界部において発現するmRNAの集団を直接比較した。192通りの全てのプライマー組み合わせを用いてODDを行い、約26,000本のバンドを比較した結果、Islet-3の機能抑制によって172本のバンドのシグナルが減弱しており、135本のバンドのシグナルが増強していた。我々は、これら全てのバンドをクローニングし、その塩基配列を決定し、in situ hybridizationによって発現パターンを調べた。発現が減少するために同定された遺伝子の中には、FGF8やWntlといった中脳と中脳・後脳境界部間の相互的誘導作用において重要な役割を果たすことが知られている分子をコードするものも含まれていた。この中には、engrailed遺伝子のmRNAと殆ど一致するパターンで発現するが、Englailed蛋白が転写因子であるのに対して、II型の膜蛋白をコードしていると推定される新規な遺伝子も含まれていた。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Izsvak, Z., et al: "Short inverted-repeat transposable elements in teleost fish and implications for a mechanism of their amplification"Journal of Molecular Evolution. 48. 13-21 (1999)
-
[Publications] Mieda, M., et al: "Compartmentalized expression of zebrafish ten-m3 and ten-m4, homologues of the Drosophila ten^m/odd Oz gene, in the central nervous system"Mechanisms of Development. 87. 223-227 (1999)
-
[Publications] Feinstein, Y., et al: "F-spondin and mindin : two structurally and functionally related genes expressed in the hipocampus that promote outgrowth of embryonic hippocampal neurons"Development. 126. 3637-3648 (1999)
-
[Publications] Higashijima, S., et al: "Visualization of cranial motor neurons in live transgenic zebrafish expressing GFP under the control of the Islet-1 promoter/enhancer"The Journal of Neuroscience. 20(1). 206-218 (2000)
-
[Publications] 岡本 仁: "ゼブラフィッシュのHox遺伝子から見た脊椎動物の進化と多様化"生体の科学. 49. 546-554 (1999)
-
[Publications] 岡本 仁 他: "Islet-1ファミリーと神経系の分化〜ゼブラフィッシュを用いた神経系分化機構の研究"蛋白質核酸酵素. 45(3). 233-240 (2000)
-
[Publications] 岡本 仁: "脳と神経(分子神経生物科学入門 金子、川村、植村 編)"共立出版. 363 (1999)
-
[Publications] 和田 浩則: "脳・神経研究のための分子生物学技術講座(小幡、井本、高田編)"文光堂. 188 (2000)