1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10301008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 由彦 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30170137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 実 福島大学, 教育学部, 助教授 (20229339)
宮本 益治 東海学園大学, 経営学部, 助教授 (00175621)
平川 毅彦 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (80189828)
藤井 勝 神戸大学, 文学部, 助教授 (67450460)
中田 實 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 教授 (70023611)
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Keywords | 地域共同管理 / 公共性 / 地域福祉 / 地域住民組織 / NPO / 自治会 / 町内会 / 地域社会 |
Research Abstract |
今年度の、調査研究を行った地域は、北海道北見市およびその周辺、札幌市、岩手県遠野市、宮城県仙台市、長野県飯田市、滋賀県彦根市、愛媛県松山市、福岡県福岡市、福岡県北九州市、大分県別府市、沖縄県那覇市および北谷町等である。詳しい調査報告は最終報告所にゆずり、ここでは今年度の調査で得られた知見のうち、とくに北海道と沖縄について述べる。 北海道の地域住民組織は本土(本州、四国、九州を指す)のものとほぼ同じである。組織の規模、組織率、住民の意識、役員構成と選出方法、活動内容、行政との関係などの点で、大きな差異はない。但し、北海道においては、中央政府が直轄で開発してきた歴史が現在も地域構造を基底において性格づけており、地域住民組織もその例外ではない。大都市札幌の地域住民組織は、本土と同じく都市的な性格をもっている。 沖縄の場合、那覇と那覇以外の地域で地域住民組織の性格は大きく異なっている。後者においては、地域住民組織は伝統的なむら組織の直接の延長線上にあり、住民の地域へのコミットメントは強烈である。そこから逃れることは許されない。その主な活動は共同体の結束を確認するための祭礼を執行することである。それに対して那覇の場合、そもそも地域住民組織の組織率が約27%と本土と比べて著しく低い。戦後、米軍による急速な土地接収によって行き場を失った大量の人口が那覇に流入し、那覇市とその周辺地域が急速に都市化したが、その過程において異郷における同郷集団である郷友会が相互扶助組織として形成され、生活防衛的機能を発揮してきた。その結果、もともとの那覇の住民が住む地域以外には、地域(この場合は、那覇という都市空間)に対するコミットメントの意識が極めて低調である。
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