2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10301008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 由彦 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30170137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 毅彦 富山大学, 文学部, 助教授 (80189828)
藤井 勝 神戸大学, 文学部, 助教授 (67450460)
中田 実 愛知学泉大学, コミュンティ政策学部, 教授 (70023611)
牧田 実 福島大学, 教育学部, 助教授 (20229339)
宮本 益治 東海学園大学, 経営学部, 助教授 (00175621)
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Keywords | 地域共同管理 / 公共性 / 地域福祉 / 地域住民組織 / NPO / 自治会 / 町内会 / 自治 |
Research Abstract |
研究の成果であるが、以下の諸点が明らかとなった。第一に現代日本の地域社会においては、生活の社会化を背景とする住民の多様な集合的要求に対応して、新しい形での地域資源の管理・運営のシステムが普遍的に生成・発展していることが実証された。それは伝統的な共同体的規制による管理統制でもないし、市場メカニズムによる調整でもない。また行政機関による公共施設、公共サービスの提供としての側面だけでは捉えきれない面をもっている。つまり地域資源の管理・運営のシステムは地域住民組織を中核とした行政組織、専門機関など様々な主体の協働的行為として実現されている。第二に「地域共同管理」の地域的不均等発展に関してであるが、何らかの社会的危機にさらされ、地域生活を防衛しなければならないという集合的意識が成立した地域ほど、「地域共同管理」の社会的仕組みの構築に向けた動きが顕著である。どの範囲でその集合意識が成立するかによって、「地域共同管理」の様態は異なる。第三に「地域共同管理」を担うコアとなる組織としては、一般的に日本社会においては町内会・自治会と呼ばれる地域住民組織をおいて他にないが、民間任意団体としての性格規定によってその「地域共同管理」団体としての成長の可能性が阻まれている。他方において、90年代後半以降、地域社会のなかに非営利組織(NPO)が「地域共同管理」を担う組織として登場し、発展しつつある。地域住民組織とNPOの協働関係の樹立に関しては、役割分担をめぐってその模索が始まったばかりである。NPOが法制化によって公的認知を受けたことによって、行政は軸足を地域住民組織からNPOに移す傾向が見られる。第四にグローバリゼーションに伴う地域社会の構造変動と「地域共同管理」の関連性については、従来は地域住民組織が主体の「地域共同管理」と産業政策はいわば社会的に切断されていた。ところが企業誘致依存型あるいは公共事業依存型の地域開発が破綻し、代わって地域において産業クラスターをいかに形成するかが問題になると、地域資源をいかに一つの目的に向かって動員するかが地域産業の復興・振興をその中核とする地域戦略に重要なテーマとなる。その意味で地域住民組織やNPOが地域政治の重要なアクターとして浮上する可能性が高まっている。
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Research Products
(2 results)