1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10304031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 雅史 東邦大学, 理学部, 講師 (00231423)
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 助教授 (20172629)
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Keywords | 有機伝導体 / 電流磁気効果 / ホール効果 / ナロウギャップ半導体 |
Research Abstract |
有機金属の中には温度にほとんど依存しない電気伝導性を示す物質が存在し、しかも、その数は決して少なくない。中には、結晶が良質であるにもかかわらず伝導度の温度変化がない物質がある。その代表例がα-型(BEDT-TTF)_2I_3という物質である。 α-型(BEDT-TTF)_2I_3は半金属的エネルギー帯構造を持った有機伝導体である。この物質は135Kで絶縁体転移を起こすが、高圧力下では転移がおさえられ、その結果、全温度域で温度変化の無い伝導性を示すようになる。この状態では、室温から液体ヘリウム温度にかけて、担体濃度と移動度の変化がバランスして伝導度の温度変化を消している。担体濃度と移動度のこれほど完全な補償が偶然におこったとは考えにくい。本研究の一つの目的は、この機構を明らかにすることである。このためには、低温高磁場の電流磁気効果を詳しく調べる必要がある。 今年度は、ヘリウムフリー超電導ソレノイドを購入して、高圧セルを用いた電気伝導測定装置と組み合わせ、研究全体の準備を行った。さらに、超伝導ソレノイドの性能評価を兼ねて、低温強磁場中でのα-型(BEDT-TTF)_2I_3の電気伝導度を測定した。その結果、この物質の電子系が磁場の印加によって変化することが明らかになった。変化は3段階であり、ゼロ磁場、、中間磁場、強磁場によってそれそれ異なった電子状態が顔を現す。この3つの状態の存在が明らかになったことは、この物質の特異な伝導現象を理解する手がかりとなる。
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