Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続いて,次の二つを重点的に研究した.一つは,野外において,付加体深海堆積物の産状,構造,組織についての研究を行ったこと,もう一つは,電子顕微鏡(SEM)を用いてそれらの堆積物の時代および組織を詳細に研究したことである.野外の研究に関しては,海外において,特にアメリカ合衆国カリフォルニア州とイギリスのサザンアプランズの深海堆積物の研究を行った.それらについては,関連する日本の例との研究成果をそれぞれアメリカ石油学会とエディンバラ地質学会のシンポジウムで講演し,論文を投稿中である.前者では,プレート沈み込み帯における堆積物の産状を逆断層とそれにそってしみ出すメタンとの関連で捉え,また後者では,付加体の成長過程での深海堆積物の構造,特に,デコルマゾーン周辺の層序と構造を詳しく論じた.その過程で,放散虫による年代決定が非常に役に立つことを明らかにした.さらに,野外での研究の一環として,太平洋(ODP Leg 185)および相模湾(NT99-14,KR99-11)における3回にわたる研究航海に参加し、深海堆積物の産状,構造,組織についてデータを取得するか,共同研究者からの提供を受けて,それらの地域の特徴的な発達を議論した.これらの研究の成果は平成12年3月,6月に行われる学会で発表する. 一方,堆積物の時代と組織の研究は,すでに述べた野外からの試料およびそれ以外の調査にもとづく試料について,精力的に進め,その成果はいくつかの論文となって発表されたか,投稿中である. 今後は,これらの成果を有機的に結びつけて,最終報告を行うべく,研究を続ける予定である.
|