1999 Fiscal Year Annual Research Report
上部マントルと地殻下部の融解構造の実験的・分析的研究
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10304043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 崇男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90181156)
森 健 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80125963)
北村 雅夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004489)
下林 典正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70235688)
WALLIS R Simon 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30263065)
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Keywords | マントル / 地殻下部 / 融解 / メルト / マグマ / ミグマタイト / かんらん岩 / 超塩基性岩 |
Research Abstract |
1.エネルギー分散形X線分析装置(EDAX社製Phoenixシステム)を購入し前年度購入・設置した日立製走査形電子顕微鏡と組み合わせて微小領域元素分析システムを完成させた.現在,定量分析の精度を向上させるためキャリブレーションを始め種々のテストを行っているところである. 2.マントルの研究:1999年9月にイタリアのパビアで開催された国際レルゾライト会議で幌満かんらん岩の最新の研究成果を2件発表した.また国際雑誌に論文を2編出版した(いずれも共著).重要な成果は幌満かんらん岩体の層構造を始めとする不均質構造を主成分及び微量元素の全岩化学組成,鉱物化学組成分析をとおして精密にキャラクタリゼーションをおこなったことである.これは観察される層構造の形成メカニズムを説明するモデルを構築し,上部マントルの部分融解とメルト移動のメカニズムの理解を前進させるには必須の作業であるという認識からである.その結果得られた重要な知見は,組成変化はおおむね連続的ではあるが,数カ所組成の飛び,すなわち不連続性があることがはっきりしたことである.現在この不連続構造を説明する,部分溶融体におけるメルトの移動に関する理論的な考察を進めているところである. 3.地殻下部の融解:三重県の領家変成岩,ミグマタイト,花崗岩の岩石学的調査を進めた.(1)青山高原のミグマタイト帯において電気石消滅アイソグラッドを確定した.ミグマタイト帯における電気石の分解融解反応とそれに伴うメルトの移動の考察を行いその成果は現在学術雑誌に投稿中.(2)ミグマタイトに密接にともなうパーアルミナス花崗岩の岩石記載を行い,それらについて現在蛍光X線分析装置による全岩化学分析の準備中である.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takazawa E.: "Polybaric petrogensis of mafic layers in the Horoman peridotite complex, Japan"J. Petrology. 40巻12号. 1827-1851 (1999)
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[Publications] 赤塚貴史: "室戸岬斑れい岩の層状構造,特にピクライト質斑れい岩の成因について"地質学雑誌. 105巻11号. 771-788 (1999)
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[Publications] Takazawa E.: "Whole-rock compositional variations in an upper mantle peridotite (Horoman. Hokkaido, Japan)"Geochim. Oosmochim. Acta. (印刷中). (2000)
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[Publications] Hirajima T.: "Preservation and retrogression of ultrahigh pressure rocks: case study of UHP metagranitoids"Mem. National Iust. Polar Res.,. 53. (1999)
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[Publications] Wallis S.R.: "Exhuming the Sanbagawa belt: the importance of tectonic discontiuuities"J. Metamorphic Geology. 16. 83-95 (1998)
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[Publications] Aoya M.: "Structural and microstrudural constrains on the mechanism of edogite formation in the Sanhagawa belt"J. Structural Geology. 21. 1561-1573 (1999)
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[Publications] 坂野昇平: "岩石形成のダイナミクス"東京大学出版会. 304 (2000)