1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10304046
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宇田川 康夫 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (00004458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正彦 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (80241579)
|
Keywords | オービタルパターン / 電子運動量分光 / (e,2e) |
Research Abstract |
標的分子の電子衝撃イオン化により生成した非弾性散乱電子と電離電子の運動量を同時計測すれば、物質の性質を支配する波動関数の形そのものを軌道毎に分けて決定できる。この手法は電子運動量分光と呼ばれ、米、加、豪などの数グループにより活発に研究が進められているが、その信号強度は極端に弱く(〜1cps)・得られたエネルギー分解能はどれも約1.5eV程度である。本研究は、二次元検出器による電子検出効率の増大を通じてエネルギー分解能の向上を図り、軌道が密に存在する化学的に興味深い分子への応用を目的とする。 平成10年度の成果(チェンバーと電子銃の製作並びに各種設計)を踏まえて、本研究期間中に二次元電子検出器を購入し、アナライザー、同時計測用エレクトロニクスの製作を行った。これらを組み合わせてオービタルパターンイメージンク装置を完成させた。電子銃の性能(1200eV、60μA)、アナライザー分解能(0.6eV)、検出器位置分解能(0.5mm)、エレクトロニクス(時間分解能0.5ns、dead time10ns)などのチェックを行い、所期の性能を満足することを確認した。次いで、波動関数が高精度で求められているHeについて測定を行い、解析結果が計算値及び文献値と一致することを確かめた。二次元検出器によゑ検出効率の増大(10^3倍)により、エネルギー分解能の向上(1.5→0.6eV)並びに測定時間の大幅な短縮化(3ヶ月→1日)を達成した。 本装置を用いて、グリオキザール分子の最高被占軌道HOMOの波動関数形を決定し、スルーボンド相互作用が支配的であることを明確にした。また、その波動関数形は理論計算よりも分子の外側に大きく広がっていることが判明し、その原因について考察を行っている。本装置による成果を来年度独国Halle/Saaleで開催される国際学会(Many-Particle Spectroscopy of Atoms,Molecules and Surfaces)で招待講演として発表する。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Masahiko Takahashi,Ryuji Ogino,and Yasuo Udagawa: "Outer valence electronic structure of pyrrole studied by electron momentum spectroscopy"Chem. Phys. Lett.. 288. 821-827 (1998)
-
[Publications] Masahiko Takahashi,Ryuji Ogino,and Yasuo Udagawa: "An Electron Momentum Spectroscopy of Norbornadiene and 1,4-Cyclohexadiene: Evidence of Through-Space and Through-Bond Interactions"Chem. Phys. Lett.. 288. 714-718 (1998)
-
[Publications] Masahiko Takahashi,Ryuji Ogino,and Yasuo Udagawa: "Electron momentum spectroscopy study of furan"Chem. Phys.. 227. 375-387 (1998)