2000 Fiscal Year Annual Research Report
境界と界面移動を伴う溶融・凝固の巨視的・微視的力学の構築と溶接・接合への応用
Project/Area Number |
10305011
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 達雄 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10025950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 拓也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (50311741)
今谷 勝次 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (70191898)
星出 敏彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80135623)
|
Keywords | 相変態 / 変態・熱・力学 / 分子動力学 / 熱影響部 / 結晶塑性 / 有限要素法 / フェーズフィールド法 |
Research Abstract |
溶融・凝固過程における力学的挙動について,原子レベルでの分子動力学解析と,巨視的レベルでの有限要素解析の他,それらの中間的スケールでの挙動を調べるため,フェーズフィールド法や結晶塑性理論に基づいた解析を行い,ミクロからマクロへと連続的に考察できる体系を整えることができた.具体的には,以下に示す(1)(2)によって微視的および巨視的立場からの考察を行い,(3)(4)によってそれらをつなぐ中間スケールでの解析を行った. (1)分子動力学法による微視的解析 固液界面における原子の動きを解析し,固液界面の安定性,結晶方位による界面エネルギーの相違などを求めた.また,結晶成長過程について,その成長方位と界面エネルギーの関係について考察し,優先的に成長する方位を明らかにした. (2)溶接熱影響部の力学的特性 Mod.9Cr-1Mo鋼の溶接部材を用いて,熱影響部の組織観察,硬度測定および引張り試験による変形挙動を調べ,それらの相関を明らかにした. (3)フェーズフィールド法による結晶成長解析 (1)の分子動力学解析によって求められた物性値および異方性を考慮したパラメータを導入してフェーズフィールドモデルによる結晶成長過程の解析を行い,その異方性や変態潜熱の組み合わせによって,実験で観察されるようなデンドライト形状が現れることを明らかにした.また,それによって,デンドライトの成長過程を動的に再現することができ,定常成長に至るまでの初期現象など,実験的には測定が困難な現象について考察した. (4)結晶塑性理論に基づく有限要素解析 (2)の熱影響部での変形挙動を解析するため,結晶塑性理論に基づく有限要素解析を行い,結晶粒のサイズや異方性を導入したモデルを用いることによって,実験結果と一致する結果を得た.これによって,(2)で得られた相関関係を理論的に裏付けることができた.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Takuya Uehara: "Molecular Dynamics Simulations of Nucleation and Crystallization Processes in Multi-layer Thin Films"20th International Congress of Theoretical and Applied Mechanics. 176 (2000)
-
[Publications] 上原拓也: "結晶成長過程における熱の流れの分子動力学シミュレーション"第21回日本熱物性シンポジウム講演論文集. 345-347 (2000)
-
[Publications] 河原正範: "結晶成長の分子動力学シミュレーションとそのフェーズフィールドモデルへの応用"日本機械学会平成12年度計算力学部門講演会講演論文集. 547-548 (2000)
-
[Publications] 河原正範: "フェーズフィールド法および分子動力学法による結晶成長シミュレーション"第8回メゾ材料シンポジウム講演要旨集. 67-68 (2000)
-
[Publications] Shigeru Yamanaka: "Transformation Plasticity - The Effect an Metallo-Thermo-Mechanical Simulation of Carburized Quenching Process"Proceedings of 1st International Conference on Thermal Process Modeling and Computer Simulation. 185-195 (2000)
-
[Publications] 前田亮平: "溶接熱影響部の微視的変形と結晶塑性解析による検討"第50期日本材料学会学術講演会講演論文集. (発表予定). (2001)