1999 Fiscal Year Annual Research Report
ナノモーションメカニズムのダイナミクスと制御に関する研究
Project/Area Number |
10305013
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下河辺 明 東京工業大学, 精密工業研究所, 教授 (40016796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 誠一 東京工業大学, 精密工業研究所, 助手 (50293056)
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工業研究所, 助手 (60272720)
佐藤 海二 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00215766)
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Keywords | ナノモーション / ダイナミクス / 冗長メカニズム / 制御 / 空気ねじ / 電磁石 |
Research Abstract |
サブナノメートルの精度・分解能でミリメートル以上の空間をカバーする機構を実現するため、本年度は、以下の研究を行った。 (1) NMMのダイナミクス X線露光装置の送りねじとして用いられている静圧空気機構に関し、微小変位領域において非線形ばね特性が存在することを明らかにし、静圧空気ねじ機構のダイナミクスモデルを構築した。そして、構築したダイナミクスモデルを用いて、大変位領域用および微小変位領域用それぞれの制御系を設計し、二つの制御系を同時併用する、非線形ばね特性に対応した位置決め制御系を提案した。さらに提案した制御方法を用いて位置決め実験を行い、1mmの位置決めにおいて、偏差0.731nm、標準偏差2.69nmの位置決め精度を実現した。 (2) 冗長メカニズムの制御 圧電素子を用いた弾性ヒンジ機構を微動機構、ボールねじ駆動機構を粗動機構とする粗微動機構に対して、PID制御、状態フィードバック制御、スライディングモード制御、H∞制御の4種類の制御方法を適用し、位置決め制御系を設計した。次に、各制御系の位置決め時間や可動質量変動、ステップ高さ変化に対するロバスト性等の制御性能を、実験とシミュレーションにより評価した。その結果、すべての評価項目で優れた性能を示す制御系はなかったが、PIDが比較的よい性能を示した。 (3) 超精密非接触電磁アクチュエータ 磁気案内・軸受の高精度化を目的として、その基本要素である2個一組の電磁石に挟まれた磁性体の位置決めに関して検討した。従来の電磁石を用いた位置決めでは、バイアス電流を与えた状態で、プッシュ・プルに電磁石の電流を増減し対象に駆動力を与え、位置決めが行われている。しかしながら、そのような位置決めは、電磁石の発熱を伴う。このため、バイアス電流を用いることなく、左右の電磁石の電流を交互に切り替え、かつ、電流と力の非戦形性を補償する制御法を提案し、高精度位置決めの実現性を実験的に確認した。その結果、使用したセンサ分解能と同等の10nm程度の位置決め分解能を実現した。
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Research Products
(1 results)