2001 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱材料の粒界選択型硫化腐食と応力の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
10305052
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
成田 敏夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60001252)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 一哉 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00161779)
|
Keywords | 高温腐食 / 粒界腐食 / スケールの破壊 / クリープ / 強度強化 / 亜硫酸ガス / 応力・歪み極性 / スケールの密着性 |
Research Abstract |
省エネ・炭酸ガスの排出量抑制のため、高効率燃焼技術の開発が進められている。その際、耐熱材料は硫黄、塩素、水蒸気等を含む高温環境に曝され、過酷な腐食を受ける。特に、耐熱材料の結晶粒界に沿って腐食が進行する粒界腐食が応力の負荷によって加速されることが問題となっている。 本研究では、Fe-25Cr合金を用いて、700℃、ArまたはAr-SO_2雰囲気における高温腐食と応力との相互作用、特に、スケールの形成と破壊について、基礎的研究を実施した。以下に、得られた主要な結論を示す。 1)Arガス雰囲気では、厚さ0.1μmのCr_2O_3スケールが形成し、応力を負荷したときのクリープ変形を抑制する効果を有し、歪みが約0.8%以上になるとスケールが破壊する。そのの破壊は応力軸に対して垂直となる。 2)亜硫酸ガスを微量含有する雰囲気では、厚さが約1μmのスケールが形成し、応力を負荷すると、定常クリープから加速クリープに早期に至る。破壊されたスケールの感激から、酸化物と硫化物が層状に形成し、スケールの厚さは桁違いに増大する。 3)スケールのクラック間隔は、定常クリープ速度のべき乗に比例し、その係数は0.2〜0.3の間にある。 4)応力・歪み曲線は雰囲気に依存し、低酸素分圧のArガス環境では強度は増大し、Ar-SO_2雰囲気では逆に低下する。これは、スリップによる組成変形の転移の放出に、Ar雰囲気では抑制に働くのに対して、Ar-SO_2では抑制効果がないことを意味している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 高橋英徳, 鴨田秀一, 林重成, 成田敏夫: "Fe-Cr-C合金表面近傍Cr炭化物の分解に及ぼす温度及び雰囲気の影響"材料と環境. 50巻10号. 472-476 (2001)
-
[Publications] 鳴海雅稔, 于志明, 田海啓司, 成田敏夫: "プラズマ溶射CoNiCrAIY/YSZ皮膜の1173Kと1273Kにおける大気中酸化挙動"材料と環境. 50巻 10号. 466-471 (2001)
-
[Publications] 于志明, 田海啓司, 成田敏夫: "遮熱コーティング皮膜の1173K ; 硫黄分圧10^<-0.6>Pにおける硫化腐食挙動"材料と環境. 50巻 8号. 376-379 (2001)
-
[Publications] H.Takahashi, Y.Miyakoshi, S.kamota, T.Narita: "The intergranular corrosion mechanism of Fe-26Cr-13Ni heat resistant cast steel in waste incineration environments"Proceedings of HTCP2000 in Rusutusu. 1. 565-561 (2000)
-
[Publications] 福本倫久, 前田滋, 林重成, 成田敏夫: "Fe-1.5mass%Si 合金の高温初期酸化に対する温度と水蒸気の影響"鉄と鋼. 86巻 8号. 526-533 (2000)
-
[Publications] 高橋英徳, 宮越康樹, 鴨田秀一, 林重成, 成田敏夫: "耐熱鋳鋼SCH2の廃棄物焼却炉内における高温腐食挙動"材料と環境. 49巻 7号. 426-430 (2000)