1999 Fiscal Year Annual Research Report
超微細粒組織を持つバルク構造用材料の温間強ひずみ圧延による創製
Project/Area Number |
10305054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 好弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20029101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
左海 哲夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80029298)
宇都宮 裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80252584)
辻 伸泰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30263213)
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Keywords | 繰り返し重ね接合圧延(ARB) / 強ひずみ加工 / アルミニウム合金 / 鉄鋼材料 / 超微細結晶粒 / 機械的性質 / 回復・再結晶・粒成長 / EBSP |
Research Abstract |
圧延を利用してバルク材に強ひずみを与えることのできる新たなプロセス、繰り返し重ね接合圧延(Accumulative Roll-Bonding;ARB)を低炭素鋼(SS400)に適用した。低炭素鋼の場合、773K付近の温間域ではひずみ時効が生じ、圧延が困難であることが明らかとなった。しかし、室温におけるARBにより、SS400にも大きなひずみを与えることができた。室温多サイクルARB材は大きな局所方位差を有する転位セル組織を示し、これらは温間域の焼鈍により超微細結晶粒組織に転化した。 また、温間域での多サイクルARBにより結晶粒径を1μm以下にまで超微細化した工業用純アルミニウム(1100)、Al-Zn-Mg合金(7075)と極低炭素IF(Interstitial Free)鋼の焼鈍に伴う組織と機械的性質の変化を調べた。焼鈍に伴い、パンケーキ状の形態を有する超微細粒はまず等軸化するように粒成長し、ある温度以上で大きく等方的に成長した。粒成長に伴い、強度が連続的に低下する一方、伸びは粒径が1〜2μm以上になってはじめて回復した。強度と粒径の間にはHall-Petchの関係が成り立つことが明らかとなった。超微細粒材の延性が小さいのは、結晶粒超微細化によって降伏強度が上昇する一方で、加工硬化率が低下し、塑性不安定が早期に達成されるためであった。しかし、微細析出物を多数有する7075合金の場合には、超微細粒の粒成長が高温まで抑制され、強度と延性の両立が可能であった。 昨年度導入したSEM/EBSPによる超微細粒組織の評価を行った。純アルミニウムの場合には、ARBままの超微細粒に対しても、TEM観察結果とよく一致した良好なOIM像を得ることができた。こうしたEBSP測定により、超微細粒組織が互いに大きな方位差を持つ多結晶体であること、純アルミニウムの粒成長が通常粒成長的に起こり、特定の方位の発達は見られないことなどが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 齋藤好弘: "1100アルミニウムの繰り返し重ね接合圧延(ARB)"日本金属学会誌. vol.63. 790-795 (1999)
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[Publications] N. Tsuji: "Ultra-Fine Grained Bulk Steel Produced by Accumulative Roll-Bonding"Scripta Materialia. vol.40. 795-800 (1999)
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[Publications] N. Tsuji: "Superplasticity of Ultra-Fine Grained Al-Mg Alloy Produced by Accumulative Roll-Bonding"Materials Transactions of JIM. vol.40. 765-771 (1999)
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[Publications] 宇都宮 裕: "アルミニウムの繰り返し重ね接合圧延(ARB)における潤滑の影響"塑性と加工. vol.40. 1187-1191 (1999)
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[Publications] N. Tsuji: "Formation of Ultra-Fine Grains in Ferrous and Aluminum Alloys Highly Strained by Accumulative Roll-Bonding"Proc. of the 4th Int. Conf. on Recrystallization and Related Phenomena (Rex' 99; JIMIS-10). 309-314 (1999)
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[Publications] N. Tsuji: Proc. of the 20th RISO Int. Symp. on Materials Science. 523 (1999)
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[Publications] 齋藤 好弘: "第2回スーパーメタルシンポジウム講演集"RTMCOF & JRCM. 455 (1999)