2000 Fiscal Year Annual Research Report
加圧下での炭化鉄の生成反応速度式の決定と流動層反応モデルの作成
Project/Area Number |
10305056
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
井口 義章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00023268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 昭二 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (40024351)
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Keywords | 炭化鉄 / 硫黄 / 加圧 / 炭化速度式 / 分解 / 炭素析出 / 反応機構 / 脈石分離 |
Research Abstract |
本研究は、赤鉄鉱の0.15-0.21mmの粉を原料として、これを硫黄活量0.1-0.6のH2-H2S混合ガスで還元し、CO-H2-H2S混合ガスで炭化して、炭化鉄を製造する研究である。研究は、(1)熱天秤により加圧下で還元鉄の炭化による試料重量変化を700℃で測定する炭化速度の測定・定式化の研究、(2)加圧下での流動層による還元鉄から炭化鉄を600℃で製造する研究、(3)塊状の鉄鉱石を還元・炭化して炭化鉄を製造し、これを粉砕して脈石を分離する研究、の3つに分けることができる。順を追って説明する。 (1) まず、加圧下においても大気圧下と同様に、炭化率f_θと炭化時間tの炭化率曲線は、一次反応速度式-ln(1-f_θ)=g(p_<i,>T)tに従うことを確認した。これより浸炭反応速度g(p_<i,>T)を求めてそれと全圧との関係を調べた。その結果、a_s=0.5の10%から90%H2までの組成で、g(p_<i,>T)は全圧の1.4から1.5乗に比例することを見出した。この全圧依存性を基に、CO分子の解離吸着、吸着酸素のH2分子とCO分子による除去の、素反応を提案し、それに基づいて反応速度式の定式化を行った。 (2) つぎに、加圧流動層による還元鉄からの炭化鉄の生成の実験を行った。反応化率は、15minおきに採取したサンプルをX線回折で定量分析して組成を求め、それから決定した。流動層の反応でも近似的に一次反応速度式が適用できることが確認された。その解析により、浸炭速度g(p_<i,>T)を求めた。これから80%CO-20%(H2+H2S)のガス組成で全圧の1.0乗に比例することを確認した。また、排ガスの組成を赤外線ガス分析計、水蒸気センサーで分析し、吸着酸素を除去する反応O(ad)+H2→H2O、O(ad)+CO→CO2の割合を求めた。その結果、炭化鉄の生成には主に前者の反応が、副反応の炭素析出には主に後者の反応が寄与していることが分かった。これらに実験結果から、加圧することによって炭化鉄生成速度を早くすることができることを確認した。反応モデルは、プラグフローモデルと気泡成長モデルを作成した。 (3) 塊状の鉄鉱石を、還元・炭化して塊状の炭化鉄を製造し、粉砕して磁力選鉱にかけ、磁着分と非磁着分の組成を分析によって求めた。その結果、ある種の褐鉄鉱では、最大8%の脈石分が含まれていたが、磁力選鉱により非常に効率よく分離できるものの、脈石は分離できないことが分かった。これは鉱石の性状によるものと推定される。
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