2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ゲルの体積相転移と相転移ダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
10305069
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
升田 利史郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 修 京都大学, 工学研究科, 助手 (50303863)
瀧川 敏算 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50201603)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 相図 / 転移熱 / DSC |
Research Abstract |
少量のイオン性基を含むポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)ゲルの体積相転移挙動に及ぼす荷重の影響を調べた.特に,膨潤度や転移温度に及ぼす荷重の影響を詳細に調べた.この研究により,転移温度の荷重(応力)依存性曲線がファンデアワールス流体系での相図に対応することを見いだした.これによりファンデアワールス流体の状態方程式に対応するゲルの状態方程式を書き下すことができた.Landau型の自由エネルギーをこれらのゲル系に適用し,転移温度や膨潤度変化の解析を試みた結果,Landau型自由エネルギーは外場のかかっているゲルの臨界展近傍での体積相転移挙動の解析に有効であることが明らかになった. 荷重下(応力場)にあるゲルでは,転移温度の応力依存性曲線が相図に対応することから,共存線の勾配よりクラペイロンの式に用いて転移熱を求める方法を提案した.この方法で求めた転移熱は高分子網目の転移熱(網目の部分モルエンタルピー)に対応することも示した.さらに,実験からDSC(示差走査熱量測定)などの熱量測定で得られる転移熱は,網目の部分モルエンタルピーだけでなく溶媒の部分モルエンタルピーによる寄与,すなわち水の構造転移に起因する転移熱,もあることを示した.これらの結果より,今まで漠然と用いられてきた"体積相転移熱"を高分子網目の部分モル量で定義することを提案し,この量を用いるとゲルの体積相転移の熱力学が非常に明確になることを示した.
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[Publications] Toshikazu Takigawa: "Transition Enthalpy for a Poly(N-isopropylacrylamide) Based Polymer Gel Estimated from the Clapeyron Equation"Polymer Journal . 33・3. (2001)
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[Publications] Toshikazu Takigawa: "Effects of Mechanical stress on the Volume Phase Transition of Poly(N-isopropylacrylamide)Based Polymer Gels"J.Chem.Phys.. 113・17. 7640-7645 (2000)