1999 Fiscal Year Annual Research Report
ハンタウイルスの中枢神経系及び免疫系組織における持続感染成立機構解析に関する研究
Project/Area Number |
10306019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有川 二郎 北海道大学, 医学部, 教授 (10142704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 茂 国立感染症研究所, ウイルス第一部外来性ウイルス室, 室長(研究職) (00167686)
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70224714)
吉松 組子 北海道大学, 医学部, 助手 (90220722)
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Keywords | 腎症候性出血熱 / HFRS / ハンタウイルス / 人獣共通感染症 / ウイルス感染症 / 病原性 / 遺伝子再集合 / 感染増強 |
Research Abstract |
1.マウス由来の3種類の細胞(神経芽腫細胞、脳微小管内皮細胞、腹腔マクロファージ)を培養し、各々に強毒と弱毒のハンタンウイルスを感染させ、ウイルスの増殖曲線を比較した。その結果、強毒株は脳微小管内皮細胞と腹腔マクロファージにおいて弱毒株よりも高い増殖率を示したが、神経芽腫細胞では両ウイルスに差は認められなかった。以上の成績により、ウイルスの病原性と末梢の標的細胞での増殖率が関連していると考えられた。 2.GalNacを特異的に認識するレクチンであるDBAとSBAと予めウイルスを反応、結合させてから培養細胞に感染させると、未処理ウイルスに比べ、感染価が約10増強した。しかし、細胞へ接種後に作用させても増強は認められなかった。また、レクチンがウイルス蛋白と細胞表面に双方に結合可能であることが明らかになった。以上の成績より、レクチンがウイルスと細胞との間を架橋することにより感染増強が起こると考えられた。 3.哺乳マウスに対して強毒と弱毒のハンタンウイルス間で遺伝子分節の交換された遺伝子再集合(genetic reassortant)ウイルスを作成し、その病原性と関連するウイルス側の要因を解析した。その結果、Mセグメント遺伝子中のアミノ酸変異(515番目アミノ酸、IleからThr)がもっとも病原性に関連しLセグメントも部分的に関連することが明らかになった。 4.Lセグメントの発現系の確立を目的にLセグメントRNA全長のクローニングに成功した。今後、この発現の有無について検討を加える予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kariwa, H., et al.: "Genetic diversities of hantaviruses among rodents in Hokkaido, Japan and Far East Russia"Virus Res.. 59. 219-228 (1999)
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[Publications] Lee, B-H., et al: "Hantavirus infection of SD rats reared in domestic laboratory animal facilities"Korean J. of the Lab. Anim. Sci.. 15(1). 49-52 (1999)
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[Publications] Ogino, M., et al.: "N-acetylgalactosamine (GalNAc)-specific lectins mediate enhancement of Hantaan virus infection"Arch, Virol.. 144. 1765-1777 (1999)
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[Publications] 森川茂、倉根一郎: "ウイルス性出血熱、職場の感染症を防ぐ;食中毒・結核から海外赴任者の健康管理まで"中央労働災害防止協会. 103-104 (1999)
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[Publications] Utama, A. et al.: "Identification and characterization of the RNA helicase activity of Japanese encephalitis virus NS3 protein"FEBS Left.. 7;465(1). 74-78 (2000)
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[Publications] 有川二郎: "動物由来感染症としてのハンタウイルス感染症"日獣会誌. 52. 225-229 (1999)
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[Publications] Saijo, M., et al.: "Nucleotide sequence of thymidine kinase gene of sequential acyclovir-resistant herpes simplex virus type 1 recovered from a child with Wiskott-Aldrich syndrome"J. Med. Virol.. 387-393 (1999)
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[Publications] Amano, H. et al.: "Identification of the canarypox virus thymidine kinase gene and insertion of foreign genes"Virology. 256. 280-290 (1999)