1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体のストレス応答と適応機構の解析-活性酸素種の生成・消去系からの検討-
Project/Area Number |
10307009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅原 和夫 弘前大学, 医学部, 教授 (80136788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中路 重之 弘前大学, 医学部, 講師 (10192220)
|
Keywords | 好中球 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 活性酸素種 / プライミング現象 / 化学発光法 / ルシゲニン / ルミノール |
Research Abstract |
炎症等でprimingされた好中球から産生された活性酸素種は化学発光法で広く測定されているが,同時に好中球からnitric oxide synthase(NOS)が誘導されてnitric oxide(NO)も産生されていることも判明してきた。つまり化学発光法の発光量にもNOSの関与が基質であるL-arginine添加で上昇し,NOSの1阻害剤を用いると抑制される。本年の研究目的はNOS活性の化学発光法による測定条件の確立である。基質濃度の変化が及ぼす影響を.阻害剤のL-NAMEと組み合わせて,発光増感剤(lucigenin,luminol)に種々のROS代謝修飾物質を加えることで多条件のROS検出系(8系)を設定して検討した。各検出系に対してNOSの拮抗阻害剤であるL-NAMEの有無の2条件下に各々NOSの基質であるL-arginineを添加してNOSの関与を検討した。好中球刺激物質としてはオプソニン化ザイモザン(OZ)で刺激する場合としない場合(NOS活性のみによる発光)の各々につき化学発光を測定した。又primingされた好中球へのNOSの影響をみるためにlipopolysaccharides(LPS)でprimingした好中球についても検討した。結果は以下に要約できる。(1)lucigenin依存性化学発光より1uminol依存性化学発光の方がNOSの関与が大。(2)luminol依存性化学発光を起こすペルオキシナイトライト産生にスーパーオキサイドが関与。(3)ミエロペルオキシダーゼの特異的阻害剤であるsalicyl-hydroxamic acid(SHA)と過酸化水素を基質とするhorseradishperoxidase(HRP)自体にNOSへの関与あり。(4)HRPは人の好中球のNOSに対しても誘導効果があり。(5)luminol+HRP+NaN_3(ミエロペルオキシダーゼとcatalaseの非特異的阻害剤)が好中球が産生する過酸化水素の量と窒素ラジカルを反映。(5)LPSで好中球をprimingした場合にはluminol+SHA,luminol+HRP+NaN_3の2つの系が好中球から誘導されたNOSの影響をより反映。以上により化学発光によるNOS活性の測定方法はほぼ完成した。次年度は本法を応用して次段階の実験を行う。
|
-
[Publications] 佐藤英樹、: "非鍛錬者における持久性運動負荷および8週間のトレーニングが好中球活性酸素種産生能に及ぼす影響" 日本衛生学会雑誌. 53(2). 431-440 (1998)
-
[Publications] 古家琢也、: "インターフェロン-αのヒト好中球活性酸素種産生能に及ぼす影響" 日本衛生学会雑誌. 53(3). 536-544 (1998)
-
[Publications] QUING,Liu: "EFFECTS OF NATURAL 9-CIS-AND SYNTHETIC ALL-TRANS BETA-CAROTENES ON THE CHEMILUMINESCENCE RESPONSES OF HUMAN NEUTROPHILS" Journal of Physical Fitness,Nutrition and Immunology. 7(1). 57-63 (1998)