1998 Fiscal Year Annual Research Report
多因子遺伝精神疾患の発症を免れるゲノム内機構と精神分裂病関連遺伝子の解明
Project/Area Number |
10307022
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡崎 祐士 三重大学, 医学部, 教授 (40010318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
有波 忠雄 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (10212648)
山下 秀次 東海大学, 農学部, 助手 (20289630)
辻田 高宏 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (40304919)
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Keywords | 一卵性双生児不一致例 / 多因子遺伝精神疾患 / 精神分裂病 / 双極性障害 / パニック障害 / genomic scanning / 連鎖研究 / 罹患同胞対法 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
本研究は2つの研究から構成されている。 1つは、精神分裂病、躁うつ病(双極性気分障害)、パニック障害、自閉症、及びナルコレプシー(おそらく神経性無食欲症も)など、多因子遺伝が想定されている精神疾患について、同じ遺伝子型を有するにもかかわらず、双生児の片方が罹患しない一卵性双生児不一致例の全ゲノムを比較し、罹患を免れるゲノム内機構を解明することが目的の一つである。具体的には不一致例の罹患者と非罹患者のゲノム差異をgenomic scanning法で検出し、差があるDNA断片のクローニングによって非罹患者に想定される遺伝子発現抑制関連DNA部位を見いだそうとする研究である。本年度はrestriction landmark genome scanning(RLGS)を、Notlを標識制限酵素として分裂病、跪うつ病、パニック障害、側頭葉てんかん不一致及び健常一卵性双生児各1組のRLGSパターンを得た。分裂病では先に認め報告した(Tsujita et al,1998)RLGSスポットの差異を再現した。その他の疾患では再現性が十分ではなかった。この過程でマウスゲノム計画のために開発されたRLGS原法をヒトゲノムに適用する際の困難が明らかになった。つまり、原法の制限酵素組み合わせによるRLGSパターンは、全Notlサイトの約3%強を展開したに過ぎず、96%以上が展開できていないこと、および差異を認めたRLGSスポットからのDNA断片クローニングが困難(多量の血液が必要、PCR操作が困難)であることである。そこで本年度は、RLGS原法の修正法の確立に力を注いだ。現在、別の制限酵素の組み合わせを用いて、PCR過程を組み込んだRLGSパターンを得ることに成功した。来年度は差異を認めたスポットからのクローニングが容易になるはずである。 他の1つは、分裂病に関連する遺伝子座位(感受性遺伝子座位)を、日本人の複数同胞罹患家系の連鎖解析によって、染色体上にマッピングし、マッピング部位の詳細な分子遺伝学的解析によって、開連遺伝子を単離することを目的とする研究である。全国的共同研究グループ(略称JSSLG)参加施設は大学15、国立研究所1,合計16に増えた。各施設は倫理委員会で承認された後、罹患同胞対家系の末梢血からのDNAサンプルの集積を行っている。1998年12月集計で、罹患同胞対110家系、両親を含む完全家系も30家系に及んでいる。本年度は連鎖解析(遺伝子型決定)に用いるに最も有用なマイクロサテライトマーカー((CA)nマーカー)の選択と作製を行った。各染色体になるべく均等に分布し、日本人で多形性の高いマーカー311(15cM間隔)を選択した。現在、健常者においてこれらのマーカーの多形分布を3つの解析センターで実施しており、終了し次第、分裂病罹患同胞対家系サンプルの解析に移行する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takahiro Tsujita: "Genomic discordance between monozygotic twins disenolant for Schizophrenia" Am J Psychistry. 155・3. 422-424 (1998)
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[Publications] Akira Imamura: "Anticipation is Japanese families with schizophrenia" J.Hum Ganet. 43・4. 217-223 (1998)
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[Publications] 岡崎 祐士: "攻撃性に関する分子遺伝学的研究の現状" 脳の科学. 20・9. 1005-1013 (1998)
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[Publications] 岡崎 祐士: "精神分裂病の脳科学" 臨床科学. 34・10. 1402-1413 (1998)
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[Publications] 辻田 高宏: "精神分裂病の双生児研究" 脳の科学. 21・1. 99-103 (1999)
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[Publications] 今村 明: "精神医学レビユーNo.28 精神疾患と遺伝(米田博 編)" ライフサイエンス(東京), 178 (1998)
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[Publications] 茅島 智彦: "精神医学レビユーNo.28 精神疾患と遺伝(米田博 編)" ライフサイエンス(東京), 178 (1998)