1999 Fiscal Year Annual Research Report
心臓血管ホルモンの臨床的意義に関する分子医学的研究
Project/Area Number |
10307026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 一和 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00172263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向山 政志 京都大学, 生産開発科学研究所, 研究員 (40270558)
伊藤 裕 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40252457)
斉藤 能彦 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30250260)
小川 佳宏 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70291424)
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Keywords | 脳性ナトリウム利尿ペプチド / ノックアウトマウス / 心臓ホルモン / 局所調節因子 / アンジオテンシン変換酵素 / 心筋線維化 / 心室圧負荷モデル |
Research Abstract |
我々は既に、鬱血性心不全患者や急性心筋梗塞患者において血中BNP濃度が著しく上昇することを報告し、心室ホルモンであるBNPの心血管疾患における病態生理的意義に注目してきた。一方、我々はBNPノックアウトマウス(BNP^<-/->)マウスを作製し、心室線維化が認められることを報告した。本研究では、BNP^<-/->ノックアウトマウスを用いて、BNPの心筋線維化抑制機構と心室圧負荷時における心臓保護作用を検討した。20週齢の雄性BNP^<-/->マウスでは巣状の心室線維化が認められたが、同じ週齢の雄性野生型(BNP^<+/+>)マウスには認められなかった。透過型電顕による検討にて、BNP^<-/->マウスの心室において筋原線維の配列に乱れが認められた。BNP^<-/->マウスの心室ではBNP^<+/+>マウスと比較して、アンジオテンシン変換酵素(ACE)、TGF-β3、I型コラーゲン遺伝子発現の亢進が認められた。腹部大動脈を腎動脈起始部直上にて縮窄した心室圧負荷モデルにおいて、術後1週間にてBNP^<+/+>マウスでは心室線維化は認められなかった。一方、BNP^<-/->マウスでは、TGF-β3とI型コラーゲン遺伝子発現の更なる亢進を伴う心室線維化の増悪が見られた。本研究により、BNPが心室の局所調節因子として、ACEおよびTGF-βの産生を抑制することにより心筋線維化に対して拮抗作用を有し、心室リモデリングに関与して心臓保護作用を発揮している可能性が示唆された。
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[Publications] Naohisa Tamura et al.: "Cardiac fibrosis in mice lacking brain natriuretic peptide"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (in press). (2000)
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[Publications] Masato Kasahara et al.: "Ameliorated glomerular injury in mice overexpressing brain natriuretic peptide with renal ablation"J. Am. Soc. Nephrol.. (in press). (2000)
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[Publications] Shigeo Yura et al.: "Accelerated puberty and late-onset hypothalamic hypogonadism in female transgenic skinny mice overexpressing leptin"J. Clin. Invest. (in press). (2000)
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[Publications] Megumi Aizawa-Abe et al.: "Pathophysiologic role of leptin in obesity-related hypertension"J. Clin. Invest. (in press). (2000)
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[Publications] Koichiro Kuwahara et al.: "Involvement of cardiotrophin-1 in cardiac myocyte-nonmyocyte interactions during hypertrophy of rat cardiac myocytes in vitro"Circulation. 100. 1116-1124 (1999)
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[Publications] 中所英樹他: "利尿ペプチドファミリーの役割"血管と内皮. 10・1. 85-92 (2000)