1998 Fiscal Year Annual Research Report
内在性抗脳虚血機構の分子基盤、生理学基盤と脳虚血治療手段への展開
Project/Area Number |
10307035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 学 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70303146)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (00163329)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
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Keywords | 微小脳損傷 / 脳虚血 / 抗脳虚血(虚血耐性) / 免疫組織化学 / 3-ニトロプロピオン酸 / NMDA受容体 / spreading depression / サイトカイン |
Research Abstract |
脳機能に対し、何ら影響を及ぼさない微小脳損傷を皮下針(100μ)にて片側線状体・CAl領域に達するまで麻酔下マウスにおいて施し(損傷群)、1週後、両側総頚動脈を60分間結紮し、その生存率を偽似手術群と比較し、損傷群において有意に高いことを先ず確かめた。両群について、虚血8時間後麻酔下(ネンブタール)に脳を摘出し免疫組織化学染色(MAP-2)によりニューロン虚血障害を評価したところ、損傷群では有意に軽減されることを形態的にも証明し、さらにラット脳でもこれを確認した。微小脳損傷の代わりに3-ニトロプロピオン酸投与を行ったところ、同様な抗虚血作用を認めた。これらの結果から、微小脳損傷による前処置がミトコンドリアにおける酸化-還元過程への影響が関連している可能性も考えられる。また、NMDA受容体の関与を検索するため、先に本学脳研究所において作製したε〓_1サブユニット欠損マウスにおいても同様な検索を、先ず生存率の比較より行った。その結果、損傷群と偽似手術群との間にこれまでのところ有意な差が認められていない。しかし、この結果のみからはNMDA受容体の関与を否定することはできなかった。本研究室班員(KT)が先に報告したようにspreading depression(SD)を負荷した群(ラット)において、虚血耐性を獲得することが解ったが、これにNMDA受容体遮断作用を有するケタミンを投与すると、SDの抗脳虚血作用が消失することも観察することができた。おそらく、NMDA受容体は脳虚血の病態に対し、両方向性の影響を及ぼしているものと考えられる。さらに、現在、脳微小損傷、SD、軽度の虚血等の前処置に共通してみられる抗脳虚血機構の本態についてサイトカインの発現を中心に組織免疫化学染色法によって検索中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Zhan R-Z他: "Differential inhibitory effects of thiopental,thiamylal,and phenobarbital on both voltage-gated calcium channels and NMDA receptors in rat hippocampal slices" British Journal of Anaesthesia. 81・6. 932-939 (1998)
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[Publications] Zhan R-Z他: "Thiopental inhibits increases in [Ca2+]i induced by membrane depolarization,NMDA receptor activation,and ischemia in rata hippocampal and cortical slices" Anesthesiology. 89・2. 456-466 (1998)
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[Publications] Zhan R-Z他: "Intracellular acidification induced by membrane depolarization in rat hippocampal slices" Brain Research. 780・1. 86-94 (1998)
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[Publications] 多賀紀一郎 他: "NMDAレセプター遮断薬の臨床開発はなぜ成功しないか" Clinical Neuroscience. (in press). (1999)
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[Publications] 藤原直士 他: "ニューロン膜脱分極によるアシドーシスの発生機序とその意義" 蘇生. 17・1. 23-30 (1998)
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[Publications] Aida S他: "Headache after attempted epidural block" Anesthesiology. 88・1. 76-81 (1998)
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[Publications] 多賀紀一郎 他: "麻酔科シラバス&チェック" (in press), (1999)
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[Publications] 多賀紀一郎 他: "麻酔緊急" 花岡一雄(編集), 2 (1998)