1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい薬物作用点としての遺伝子転写制御-神経分化・記憶に関わる新規転写因子と薬物
Project/Area Number |
10307057
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
樋口 宗史 新潟大学, 医学部, 教授 (30150337)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂里 康 通産省工業技術院, 大阪工業技術研究所, 主任研究員
吉田 豊 新潟大学, 医学部, 講師 (40182795)
仲澤 幹雄 新潟大学, 医学部, 助教授 (80143759)
|
Keywords | Neuropeptide Y / gene transcription / drug-induced regulation / NGF response element / NDF1 / in situ hybridization / transcriptional factor / repression |
Research Abstract |
遺伝子転写制御が薬物の新しい作用点になることを明らかにするため、神経分化・記憶に関わる神経遺伝子の新規転写制御因子のクローニングとそれに対する神経作動薬による調節機構の解明を行っている。特に、神経ペプチドNPY(Neuropeptide Y)及びENK(Enkephalin A)遺伝子を用いて、記憶・シナプス可塑性に関わる神経遺伝子の転写調節機構と薬物による調節に焦点をしぼった。 これまで、NPY及びENK遺伝子のプロモーター上に、新しいNGF反応エレメント(NGFRE)とCa/calmodulin-dependent kinase反応エレメント(CaRE)を同定しているが、これらの塩基配列は系統的によく保存されており、重要な転写制御因子(NDFsと名付けている)が結合する。平成10年よりの4年間に、これらの新規転写因子の同定・クローニングと転写因子に対する薬物作用の分子レベルでの解明を行っていきたい。 平成10年は以下の研究を行った。 1. NPY遺伝子のNGFREとCaREに結合する種々の転写因子のうち、どの転写因子がNGFによる細胞内情報伝達を伝えているのかを、CAT・ルシフェラーゼベクターを用いた培養神経細胞での発現実験で行った。特に、クローニングした転写制御因子NDF1の機能発現実験からシナプス伝達に抑制的に働く、転写抑制機構(direct repression)の機構が明らかになった。この因子の活性は神経作動薬の調節を受けるので、その薬物の作用メカニズムを転写レベルで調べたが、まだ明確な答えは出ていない。 2. NDF1を含む、これらの転写因子の脳内分布と生理機能を調べる実験も行っている。26kDa核蛋白質NDF1はIn situ hybridizationにより、神経系に広範に存在することを見いだした。種々のペプチド抗体を作成して中枢神経系の免疫組織化学も行い、これらの因子の神経発生・神経活動に伴う変化を調べている最中である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yoshida,Y.: "Stimulation of plasma membrane Ca^<2+>-pump ATPase of vascular smooth muscle by cGMP-dependent protein kinase : Functional reconstitution with purified proteins." Mol.Cell.Biochem.(in press). (1998)
-
[Publications] Ishida,A: "Critical amino acid residues of AIP, a highly specific inhibitory peptide of calmodulin-dependent protein kinase II." FEBS Lett.427. 115-118 (1998)
-
[Publications] Shimamoto,K.: "DL-threo-β-benzyloxyaspartate, a potent blocker of excitatory amino acid transporters." Mol.Pharmacol.53. 195-201 (1998)
-
[Publications] Ishibashi,T.: "IP_3 production in A10 cells, an established aortic smooth muscle cultured cell line : Effects of agonist administration procedure and culture conditions." Gen.Pharmacol.32. 115-121 (1999)
-
[Publications] 樋口宗史: "物質依存の仮説-分子生物学的仮説" こころの臨床アラカルト第17巻増刊号「精神疾患100の仮説」. 237-240 (1998)
-
[Publications] 樋口宗史: "ブレインサイエンス最前線99、印刷中" 神経分化、シナプス可塑性に関わる遺伝子制御, (1999)