2000 Fiscal Year Annual Research Report
AMSによる個別有機分子の^<14>C測定:分取キャピラリーGCの製作と地球化学的応用
Project/Area Number |
10354009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定試料研究センター, 助教授 (10135387)
松本 公平 北海道大学, 低温科学研究所, 学振特別研究員
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
山上 仰 横河アナリティカルシステムズ(株), アプリケーション開発部, 技術第1課係長
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Keywords | 放射性炭素 / 加速器質量分析計 / 年代測定 / 有機物年代 / バイオマーカー / 分取ガスクロマトグラフ / エアロゾル / 地球化学試料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大気・堆積物試料中に存在するバイオマーカー分子(例えば、脂肪酸など)に含まれる^<14>Cの濃度を加速器質量分析計(AMS)にて測定するために、地球化学的試料よりバイオマーカーを個別分子種ごとに分け取るするための分離・濃縮システムを製作することである。本年度は、本研究で開発した分取キャピラリーガスクロマトグラフ(PCGC)システムを用いて、エアロゾル試料中の脂肪酸の分離と精製、および個別脂肪酸の^<14>C測定を行った。分離した脂肪酸を、C_<16>,C_<18>+C_<20>+C_<22>,C_<24>+C_<26>,C_<28>+C_<30>+C_<32>の4つの画分に分けた。C_<16>以外の成分を合体した理由はエアロゾル試料から分離した脂肪酸量が十分になかったためである。また、それぞれの成分の純度は、94-100%であった。放射性炭素の濃度測定の結果は、パルミチン酸(C_<16>)やC_<18>-C_<22>の脂肪酸の場合にmodern carbonであったのに対し、C_<24>+C_<26>脂肪酸では5860(±200)年、C_<28>+C_<30>+C_<32>脂肪酸では271(±120)年という年代値が得られた。C_<16>やC_<18>-C_<22>の脂肪酸は、現在生息している生物から直接大気中に放出される有機物であるのに対し、C_<24>以上の脂肪酸は過去に生産されたものであり土壌中に数百年から数千年の間滞留した後に大気中に放出されたものであろう。また、同時に測定した安定炭素同位体比の結果は、C_<16>-C_<22>の脂肪酸が海洋の植物プランクトンに由来するのに対し、C_<20>より高分子の脂肪酸は陸上植物によって生産されたものであることがわかった。高分子脂肪酸の一部は、中国大陸で生産されたものが、黄砂とともに日本まで運ばれてきたものと考えられる。また、本年度は、50マイクログラムの炭素量でグラファイトターゲットを作成するラインを完成した。このラインを使うことによって、従来の量(100マイクログラム)よりもより微量で^<14>C測定が可能になり、^<14>Cの測定の範囲が大きく広がると期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Uchida: "Isolation of individual fatty acids in sediments using preparative capillary gas chromatography (PCGC) for radiocarbon analysis at NIES-TERRA."Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 172. 583-588 (2000)
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[Publications] 今井美江: "同時採取した降水およびエアロゾル中の低分子ジカルボン酸・ケトカルボン酸・ジカルボニルの分布と経時変化"地球化学. 34. 111-123 (2000)
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[Publications] Y.Ternois: "Alkenone sea surface temperature in the Okhotsk Sea for the last 15 kyr."Geochemical Journal. 34. 283-293 (2000)
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[Publications] 河村公隆: "北部北太平洋・ベーリング海における懸濁粒子の脂質成分・炭素安定同位体比の鉛直分布"日本プランクトン学会報. 47. 140-143 (2000)
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[Publications] S.Matsunaga: "Determination of α-and β-hydroxycarbonyls and dicarbonyls in snow and rain samples by GC/FID and GC/MS employing benzyl hydroxyl oxime derivatization."Analytical Chemistry. 72. 4742-4746 (2000)
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[Publications] K.Kawamura: "Distributions of low molecular weight dicarboxylic acids, oxocarboxylic acids and α-dicarbonyls in Greenland ice core : A trend from Little Ice Age to the present (1540 to 1989 A.D.)."Journal of Geophysical Research. 106. 1331-1345 (2001)