1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空極低温高磁場光電子走査型トンネル顕微鏡の製作
Project/Area Number |
10354011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長村 俊彦 (株)ユニソク, 開発研究所, 所長
小澤 健一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282822)
佐藤 博彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90262261)
枝元 一之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80185123)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 超高真空 / 極低温 / 高磁場 / 表面分析 / グラファイト / トンネル分光 |
Research Abstract |
当研究室現有の走査トンネル顕微鏡(STM)について、10^<-10>Torrの高真空、4.2Kまでの極低温および、7テスラまでの高磁場での動作テストを行った。最初のテストは当大学極低温システム研究センターで行ったが、最初の目標であるグラファイト試料の原子像を観測するに至らなかった。これは、装置が周辺の環境、特に振動や騒音に非常に敏感であり、センター内のヘリウム液化機のコンプレッサー等の騒音が影響を及ぼしているためであった。そこで、装置を静寂な環境の別の部屋に移転したところ、グラファイトの原子像の観測が可能になった。しかし、装置は相変わらず周辺の騒音に敏感であり、測定に当たっては静寂な時間帯を選ぶ必要があることが分かった。また、STMの針を試料に近づける際に使用するアプローチ用シアピエゾの動作が低温で不安定になるという問題が発生した。 新たな装置として、試料導入室、処理室、観測室を備えた超高真空STMの開発を行った。現在の段階で、処理室には、真空中試料へき開装置、四重極子質量分析装置、通電加熱装置、低速電子線回折装置、オージェ電子分光装置が装備されている。試料のへき開法については、我々の目標物質のひとつであるグラファイト層間化合物にふさわしい方式を独自に考案した。また、STMヘッドに関しては、現有装置での経験を元に、外界からの振動による影響を最小限にするための工夫を行った。その結果、クライオスタットそのものの除振に加えて、STMヘッドをクライオスタント内部でさらにバネ吊りにすることが有効である事がわかった。実際にテストをしてみたところ、現有装置に比べてより安定したグラファイト原子像が観測され、外界からの騒音の影響も小さくなった。10^<-10>Torrの高真空、1.6Kまでの極低温および、12テスラまでの高磁場でのテストの結果も良好で、グラファイトの原子像および再現性のあるトンネルスペクトルが得られた。また、アプローチ用シアピエゾに関して改良を加えたため、現有装置のように低温で動作が不安定になる挙動は見られなくなった。ただし、試料の温度が温度計の示す温度とずれている可能性もあり、今後、低温でのヘッドの正確な温度に関しては、超伝導体の超伝導ギャップの観測による詳細なテストが必要である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 榎敏明: "新しく炭素材料実験を始める人のために-炭素材料の化学と電子スピン共鳴" 炭素. 181. 44-46 (1998)
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[Publications] 榎敏明: "炭素同素体の電子物性と表面" ニューダイヤモンド. 50. 8-12 (1998)
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[Publications] Tetsuo Yamashita: "The Contribution of Intercalate to the Electronic Structure and Transport Properties for Potassium-Oaygen-Graphite Intercalation Compounds" Mol.Cryst.Liq.Cryst. 310. 243-248 (1998)
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[Publications] odd.E.Andersson: "The c-anis Magnetoregistance and Thermoelectric Power of Cu Cl_2 Graphite Intercalation Compounds" Mol.Cryst.Liq.Cryst. 310. 249-254 (1998)
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[Publications] Yoshiyuki Shibayama: "Magnetic Properties of Activated Carbon Fibers and Their Iodine doping Effect" Mol.Cryst.Liq.Cryst. 310. 273-278 (1998)
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[Publications] Norikazu Kobayashi: "Gas Adsorption Effects on Structural and Electrical Properties of Activated Carbon Fibers" J.Chem.Phys. 109(5). 1983-1990 (1998)
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[Publications] odd.E.Andersson: "The Structure and Electronic Properties of Graphite Nano-particles" Phys.Rev.B. 58(24). 16387-16395 (1998)
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[Publications] Toshiaki Enoki: "Thermal and Mechanical Properties" Springer-verlag, 225-240 (1998)
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[Publications] Toshiaki Enoki: "Novel Carbon-Based Host-Euest Systems" Springer-verlag, 137-146 (1998)