1999 Fiscal Year Annual Research Report
都市直下型地震時における構造物の動的損傷・破壊現象の解明と耐震対策に関する研究
Project/Area Number |
10355022
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷村 眞治 大阪府立大学, 工学部, 教授 (30081235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 年正 日立造船株式会社技術研究所, 要素技術研究センター, 主席研究員
高畠 秀雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20064462)
秋山 宏 日本大学, 理工学研究科, 教授 (80010825)
浅田 和雄 三菱重工業株式会社, 高砂研究所, 主務研究員
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Keywords | 直下型地震 / 構造物 / 破壊 / 動的応答 / 解析 / 鉄骨構造 / ソリッドモデル / 振動 |
Research Abstract |
都市直下型地震として知られる阪神・淡路大震災では、その初期の激しい上下・水平方向の揺れの同時作用によりもたらされた動的破壊が、数多く報告されている。これらの破壊現象では、地震動初期における過渡応答時の高層建築物の動的挙動が重要になるため、これを応力波の伝ぱを考慮できる動的有限要素法を用いて解析した。まず、高層建築物全体を骨組要素でモデル化し、実測加速度波形を入力し解析を行った結果、部材の一部にその降伏応力の1/2〜1程度の平均応力の生じる可能性が得られた。次に、その部材をソリッド要素でモデル化し、解析を行った結果、応力集中係数が約6に達する結果が得られ、定常振動域に入る前の過渡期において破壊開始が起きた可能性の高いことが明らかにできた。 また、阪神・淡路大震災で見られた銅構造部材の脆性破壊を理解するために、建築物の終局エネルギー吸収能力を予測する上で重要となる塑性破壊遷移温度(FTP)に注目し、実大振動台実験を行った。その結果、柱梁接合部を含む骨組要素のFTP条件を明らかにできた。FTPは地震によるエネルギー入力速度にも依存し、阪神・淡路大震災のように、これが大きい場合は、構造要素の塑性化による温度上昇が極めて顕著で、FTPが約20度低くなり、脆性破壊が起こりやすくなる結果が得られた。 門型および7階建鉄骨造中層ラーメンに対する質点系解析、フレーム解析、連続体解析による動的解析結果は概ね一致していることが明らかとなった。直下型地震は海洋型地震に比べて瞬間入力エネルギー変化が非常に大きく、それが最大となる時刻で応答が最大値を示すことから、この急激なエネルギー変化に対応できる強度が耐震上不可欠であることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S. Tanimura, K. Minura and K. Liu: "Dynamic Failure of Structures due to the Great Hanshin-Awaji Earthquake"Impact Response of Materials & Structures, Ed. by V.P.W. Sim, S. Tanimura and C.T. Lim. 87-99 (1999)
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[Publications] 佐藤登史,楳田努,三村耕司,岡本正明,谷村眞治: "高層建築物箱形柱の三次元動的挙動解析"日本機械学会関西支部第257回講演会講演論文集. 1-23-1-24 (1999)
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[Publications] 秋山宏,山田哲 他4名: "冷間成形角形鋼管柱の実大振動台実験"日本建築学会構造系論文集. 521. 133-140 (1999)
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[Publications] 秋山宏,山田哲 他4名: "実大柱梁接合部の試験温度による延性-脆性破壊"日本建築学会構造系論文集. 522. 105-112 (1999)
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[Publications] 高畠秀雄: "芦屋浜高層鉄骨造被害から得た耐震評価の提言"日本建築学会大会学術講演梗概集. 463-464 (1999)
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[Publications] 高畠秀雄,中川佳久,中野信教: "各種動的解析法における応答性状の相関性"(続)兵庫県南部地震における構造物の衝撃的破壊に関するシンポジウム. 1-14 (2000)
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[Publications] 秋山宏: "エネルギーの釣合に基づく建築物の耐震設計"技報堂出版株式会社. 220 (1999)