1998 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体セラミックスの粒界に起因するホットスポット現象とその応用
Project/Area Number |
10355034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高田 雅介 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20107551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 祐二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60293255)
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Keywords | 高温超伝導体セラミックス / 粒界 / ホットスポット / GdBa_2Cu_3O_<7・δ> / 酸化物イオン伝導 / 温度分布 / 直流電場 / 酸素センサー |
Research Abstract |
高温超伝導体として知られているGdBa_2Cu_3O_<7-δ>のセラミックス線材に閾値以上の電圧を印加すると、線材上の局所部分に、粒界に起因すると考えられる赤く光るホットスポットが発生し、そのホットスポットが移動するという現象を見出した。更に、直流電場下における移動方向は常に負極に向かう方向であり、電極の反転に伴いその移動方向も反転した。これまでの研究によって、ホットスポットの出現現象は試料の有するPTCR特性に起因することがわかり、また、移動現象はホットスポット内部における酸化物イオンの伝導に起因することが推測されてきたが、まだ不明瞭な点が残されている。本研究では、特にホットスポット移動現象のメカニズムについて詳細に調査、解明することを目的として、直流電場下において移動中のホットスポットの温度分布を測定し、移動現象との関連について検討した。 その結果、移動中のホットスポット内部には温度勾配が存在し、進行方向側でより高温となっていた。また、印加電圧の極性を反転させると、この温度勾配も反転した。 移動現象のメカニズムについて考察した結果、このような温度勾配の形成とホットスポットの移動現象が直接関係していることがわかった。つまり、高温側ではより多くの熱がホットスポット部分から低温部分へ伝導するため、ホットスポットは伸長する。同一環境下においてスポットサイズは一定であるという条件から、低温側では短縮する。従って、ホットスポットは高温側に向かい移動すると考えられる。直流電場下においては、このような温度勾配は、ホットスポット内部における酸化物イオンの伝導により形成されると考えられる。つまり、酸化物イオンが正極に向かい移動すると、負極側では酸素欠損量の増加に伴い抵抗が増加し、発生するジュール熱が増加するためであり、これは、ホットスポットの移動機現象が、ホットスポット内部における酸化物イオンの伝導に起因しているという証拠である。 今後、交流電場下及び様々な雰囲気酸素分圧下においてホットスポットの温度分布を測定することにより、その移動メカニズム及び酸化物イオン伝導性について更に詳細に調査し、本現象の工学的応用、特に簡易構造を有する自己発熱式酸素センサーとしての実用化に向けて検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Kurihara et al.: "NEW SINTERING TECHNIQUE USING THE MIGRATION HOT SPOT ON HIGH-T_C SUPERCONDUCTOR" Electroceramics in Japan I. 127-134 (1998)
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[Publications] 高田 雅介 他: "ホットスポット現象を用いた通電加熱法による高温超伝導線材の合成" 月刊ニューセラミックス誌. 11・8. 35-38 (1998)
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[Publications] Y.Kurihara et al.: "HOT SPOT BEHAVIOR DEPENDING ON THE CROSS SECTION CONFIGURATION OF CERAMIC ROD" Journal of the Korean Ceramic Society (English Edition). 印刷中. (1999)
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[Publications] M.Takata et al.: "Novel Oxygen Sensor Using Hot Spot on Ceramic Rod" Bulletin of Materials Science. 印刷中. (1999)