2000 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来のカルボニル還元酵素によるキラルビルディングブロック生産法の開発
Project/Area Number |
10356004
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 恵子 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70234226)
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
長谷川 淳三 鍾淵化学工業(株), 高砂研究所, 基幹研究員
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Keywords | キラルビルディングブロック / カルボニル還元酵素 / 不斉還元 / 4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エチル |
Research Abstract |
光学活性4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸(CHB)エステル類は、様々な光学活性化合物のキラルビルディングブロックとして用いることができる。本研究では、微生物酵素の持つ立体選択性を利用した光学活性CHBエステル類の生産法の確立を試みた。 光学活性CHBエステル類を生産するための出発原料としてはプロキラルなカルボニル化合物である4-クロロアセト酢酸エチルエステル(CAAE)を用い、カルボニル基の不斉還元反応により光学活性CHBエチルエステル(CHBE)を生産するプロセスの構築を目指した。スクリーニングの結果、R-CHBEに変換するCAAE還元酵素(AR1)をSporobolomyces salmoniclolorが、S-CHBEに変換するCAAE還元酵素(S1)をCandida magnoliaeが生産することを見出した。さらに遺伝子組換え技術を利用して、CAAEの不斉還元反応に必要な酵素AR1あるいはS1遺伝子のみを大腸菌内に大量発現させ、これを触媒として用いる方法を試みた。大腸菌には還元反応に必要な補酵素の供給系が充分にないことから、補酵素再生系としてグルコース脱水素酵素(GDH)遺伝子も共発現させることも試みた。 R-CHBE生産については、AR1及びGDH遺伝子を同じ大腸菌に共発現させ、この組換え大腸菌を触媒として最終的に300mg/mlのCAAEをほぼ定量的にR-体のCHBEに転換することが可能となった。一方、S-CHBE生産に関しても、同様にS1・GDH遺伝子の大腸菌内での共発現に成功し、この組換え大腸菌を触媒としてCAAE還元反応を行ったところ、350mg/mlのCAAEをほぼ定量的にS-体のCHBEに転換することが可能となった。これにより、酵素不斉還元反応による実用的物質生産プロセスの基盤を構築することができた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] N.Kizaki et al.: "Synthesis of optically pure ethyl (S)-4-chloro-3-hydroxybutanoate by Escherichia coli transformant cells coexpressing the carbonyl reductase and glucose dehydrogenase genes"Appl.Microbiol.Biotechnol.. (in press). (2001)
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[Publications] Y.Yasohara et al.: "Molecular cloning and overexpression of the gene encoding an NADPH-dependent carbonyl reductase from Candida magnoliae, involved in stereoselective reduction of ethyl 4-chloro-3-oxobutanoate"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64. 1430-1436 (2000)
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[Publications] 片岡道彦 他: "組換え大腸菌を利用した光学活性化合物の生産プロセス"化学と生物. 38. 313-318 (2000)
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[Publications] M.Kataoka et al.: "3,4-Dihydrocoumarin hydrolase with haloperoxidase activity from Acinetobacter calcoaceticus F46"Eur.J.Biochem.. 267. 3-10 (2000)
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[Publications] M.Kataoka et al.: "Purification and characterization of a novel lactonohydrolase from Agrobacterium tumefaciens"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64. 1255-1262 (2000)
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[Publications] 片岡道彦: "立体選択性を示す生体触媒の機能解析と光学活性化合物生産への応用"農化誌. 74. 1097-1105 (2000)
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[Publications] S.Shimizu: "Biotechnology, vol.10"VCH, Weinheim (in press). (2001)
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[Publications] J.Ogawa et al.: "Stereoselective biocatalysis"Marcel Dekker, Inc, NY,. 932 (2000)