1999 Fiscal Year Annual Research Report
CD19,CD22の免疫学的機能を応用した全身性強皮症の新しい動物モデルの開発
Project/Area Number |
10357008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (20215792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 和彦 金沢大学, 医学部, 教授 (50142253)
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Keywords | 全身性強皮症 / tight skin mouse 1 / B細胞 / 自己免疫 / CD19 / CD22 |
Research Abstract |
本研究の目的はCD19トランスジェニックマウス、CD22ノックアウトマウスをtight skin mouse 1(Tsk1)マウスと交配させ、Tsk1マウスにおけるB細胞トレランスを破錠させることによって、自己抗体産生を強く誘導し、全身性強皮症(systemic sclerosis; SSc)と類似した免疫学的異常を導入し、新たなるSScの動物モデルを確立することにある。またCD19ノックアウトマウスも同時にTsk1マウスと交配させ、Tsk1マウスにCD19の発現欠如を導入し、B細胞の機能を抑制することによる効果も検討する。上記目的のため、Tsk1マウスを米国ジャクソンラボラトリーより取り寄せ、現在交配の最終段階にあり、後2-3ヶ月中には解析のためのマウスがそろう予定である。本年度はこのマウスの準備の他に、研究計画には挙げてなかったものの重要な基礎実験である、SSc患者由来B細胞上のCD19発現量の検討を行った。SSc由来B細胞上のCD19発現量は、健常人に比べて約20%増加していた。さらに、この20%にすぎないCD19の発現量の増加が直接自己免疫を誘導しているかどうかを検討するために、同様に16%だけCD19の発現量を増加させたマウスを作成し、自己抗体産生について解析した。このマウスでは、抗ヒストン抗体、抗1本鎖DNA抗体、抗2本鎖DNA抗体、リウマトイド因子など様々な自己抗体産生が認められ、CD19の発現量の増加はSScにおいて自己免疫の誘導と関連している可能性が示唆された。この基礎実験の結果によって、Tsk1マウスにCD19の発現量増加を誘導した場合、SScと類似した免疫学的異常を導入し、新たなSScの動物モデルを作成しうる可能性が高くなったと考えられた。次年度には、上記交配によりCD19の発現を欠くTsk1マウス、CD19を過剰に発現するTsk1マウス、CD22の発現を欠くTsk1マウスについて、皮膚硬化、自己抗体産生などについて解析する予定である。
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