Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 睦 国文学研究資料館, 史料館, 助手 (00260000)
石崎 武志 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 物理研究室長 (80212877)
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
山野 勝次 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 調査員
木川 りか 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 研究員 (40261119)
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Research Abstract |
初年度は,欧米等において実際に博物館等でIPM(Integrated Pest Managdment)の立案・実行に携わっている海外の研究者をイギリス,アメリカから招聘し,IPMについてのレビューを受けた。その結果,IPMの内容である,きめの細やかな清掃,被害のモニタリング,隔離スペースの設置と利用,被害が出たときの応急処置,スタッフの教育などの項目が現場でどのように行われているか,欧米の実例を詳しく知る一助となった。これをもとに議論を行った結果,欧米とは気候条件,および主な収蔵品の材質が異なる日本においては,欧米の方法論をそのまま取り入れることは不可能であること,従って日本においては欧米の方法論の良い点は取り入れつつも,風土に合った独自のIPMを確立していく必要があることが強く認識された。そこで,最初の取り組みとして,学芸員が被害のもととなった害虫を同定し,また的確に対処するための助けとなる日本の文化財害虫目録が必要と判断し,現在製作中である。 また,臭化メチル燻蒸のいくつかの代替法,脱酸素処理,二酸化炭素処理,温度処理,新規燻蒸剤や防虫・防徽剤などについて,各方法のおおまかな使い分けを一覧として整理した。これをもとに,日本の文化財害虫についての仕様書の策定,また各代替殺虫法が文化財材質へ及ぼす物理的,および化学的な影響の評価を行うため,現在実験を進めている。
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