2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10400006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 眞和 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30016521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 眞一 筑波大学, 大学研究センター, 教授 (10220469)
菊地 城司 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00027963)
市川 昭午 国立学校財務センター, 教授 (00000050)
丸山 文裕 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (60144888)
金子 元久 東京大学, 大学総合教育センター, 教授 (10185936)
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Keywords | 高等教育 / 教育経済学 / 家計負担 / 育英奨学制度 / 私学助成 |
Research Abstract |
最終年度である十二年度においては、初年度に作成した「私学財務状況調査」「学生生活調査」に関するデータベースを利用して、十一年度に行った1.私学の経営・財務2.学生の学費負担の実態について分析をさらに進めた。より詳細には、1.については(1)私学の収支費目内訳の対応などの経営収支構造(2)私学の財務指標とその背後にある構造(3)国立大学との教育条件(学生1人当たり教育研究費等)格差の実態についての分析が行われた。また、2.については(1)大学生の学生生活費の自己負担状況、(2)大学生の奨学金需給状況と学生生活の実態、(3)大学院についての学費負担の実態についても分析が進められた。また、3.以上の計量的分析の他に、十一年度においてなされた海外の高等教育費負担の事例についてのインタビュー調査(アメリカ・イギリス・オーストラリア等)についての整理を行った。 これらの分析から明らかになった主要な知見を取り上げると次のようになる。1.(1)学生納付金などの基本的な収入以外(寄付金、資産運用収入、事業収入等)をより多く獲得している(すなわち経営努力を行っている)大学では、ST比などの教育の質が高くなっていること。(2)主成分分析を通じて、人件費性向、諸経費性向、寄附依存志向、自己資金選好、金融資産選好の5つの行動選択軸が存在し、一般に思われている以上に財務構造が多様で複雑であることを明らかにした。(3)私立大学と国立大学との間の教育条件格差は高等教育がマス化した現在においてかなり小さいものとなっている。2.(1)大学生の学生生活費の自己負担の状況については大きな分散があり、それらは家計収入との関係があること。(2)奨学金等受給者は、非受給者と同様の額をアルバイトにより獲得しており、奨学金の相当分だけ家計からの仕送りを抑えることによって、家計の学生生活費負担を低く抑えていること。3.アメリカの最新事例からは、景気の好転を背景として、積極的な資金調達キャンペーンを展開することにより、教育研究費の充実を達成した大学の事例(ハーバード、公立研究大学等)などが明らかになった。 以上の知見を含めて、研究代表者、研究分担者による執筆論文をまとめた研究成果報告書の作成を行った。
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Research Products
(1 results)