1998 Fiscal Year Annual Research Report
1998年パプアニューギニアの北西部沿岸域の津波災害に関する調査研究
Project/Area Number |
10400010
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河田 恵昭 京都大学, 防災研究所, 教授 (10027295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 昌史 電力中央研究所, 水理部, 研究員
都司 嘉宣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30183479)
松冨 英夫 秋田大学, 工学部, 助教授 (20134083)
高橋 智幸 京都大学, 防災研究所, 助手 (40261599)
今村 文彦 東北大学, 工学部, 助教授 (40213243)
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Keywords | 現地調査 / 津波地震 / 海底地滑り / 遡上 / 越流 / 余震観測 / 国際協力 / ラグーン |
Research Abstract |
1998年7月17日にパプアニューギニア沖で発生した地震津波によって、同国北西部の西セピック州では2,500名を超える死亡者を出した。緊急救援活動が落ち着いた約2週間後に被災地へ入り、現地調査を行った。調査項目は、地震および津波の被害、津波痕跡による津波高分布、余震観測、生存者の証言の収集などである。 被害は津波によるものがほとんどであり、シッサノ・ラグーン周辺の集落に集中していた。特に、ラグーンの砂州上に位置するアロップ村とワラプー村では、住民の6〜7割が死亡するという甚大な被害を被っていた。津波痕跡から判明した津波高の分布も被害と同様、シッサノ・ラグーン付近で高く、そこから離れるにしたがい急激に小さくなる傾向を示した。最大で10mを超えていたが、高い範囲は狭く、5mを超えているのは20kmほどの範囲、10mを超えているのはわずかに10kmほどの範囲に留まっていた。すなわち、シッサノ・ラグーンを中心に、極めて局所的に大きな津波が来襲したことが分かった。また、生存者の証言を加味すると、砂州上で限界流が生じ、背後のラグーンに流れ込む時に縮流し、射流となってラグーンヘ突入したと考えられた。そして、ラグーン上では波状跳水を形成し、水平軸を持つ渦が発生したと推定された。他に、根元を先堀されたためではなく、幹の途中で折れて、倒壊した木々も見られ、大きな流体力が瞬間的に働いたことを示していた。液状化の痕跡も発見でき、大きな地震動が生じていたことが判明した。 調査後は、被災者の心理的支援を目的とした講演を行った。また、調査結果は全てパプアニューギニアの研究者へ公開し、今後の研究の方針に付いての議論も行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 河田・高橋: "1998年パプアニューギニア津波の現地調査" 河川災害に関するシンポジウム概要集. 47-51 (1999)
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[Publications] Imamura,Kawata,Takahashi 他: "Field survey on the tsunami of the 1998 Papua New Guinea and its damage" EOS,TRANSACTIONS,AMERICAN GEOPHYSICAL UNION. Vol.79. 563 (1998)
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[Publications] Takahashi and Kawata: "Energy Concentration and Recurrence of the 1998 Papua New Guinea Tsunami" EOS,TRANSACTIONS,AMERICAN GEOPHYSICAL UNION. Vol.79. 572 (1998)