1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小川 勝 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (60214029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 浩一 地質調査所, 地震地質局, 主任研究官
右代 啓視 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30213416)
平川 善祥 北海道開拓記念館, 企画調整部, 課長 (00132837)
木村 重信 兵庫県立近代美術館, 館長 (50027984)
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Keywords | 北東アジア / 縄文・続縄文時代 / 先史岩面画・刻画 / フゴッペ洞窟 / 洞窟地質学 |
Research Abstract |
今年度は4年間にわたる計画の初年度に当たり、研究参加者の基本的な認識を統一するところから始めざるを得なかった。7月以降小川と下川はフゴッペ洞窟及びその周辺で現地調査を重ね、平川と右代は北海道開拓記念館所蔵のフゴッペ洞窟出土品の整理と検討、及び発掘時の調査記録の再検討などに従事した。8月にはフゴッペ洞窟の現地で参加者全員による第1回研究会を開催し、今後の研究の方向性を確認した。また、11月には大阪で第2回研究会を持ち、それまでの各参加者の研究成果を中間発表し、それを検討することで、基本的理解を共有することができた。その後も、小川と下川はそれぞれ現地調査を行い、来年度以降の研究の進展のための予備的な成果を得ているところである。 具体的に発表しうる成果はまだないが、小川は刻画のある落石の時間的・空間的分布を確定したところで、今後岩面刻画の制作年代の解明へ至ろうとしている。木村は、作品と堆積層の年代的関係について研究を進めている。平川は、出土品の整理、検討を通じてフゴッベ洞窟を利用した人々の生活復元の作業に入っている。右代は、下川と共同で地質的事実から紀元前後の洞窟周辺の古環境をラグーンと推定し、そこでの海産物の利用状況などについて考察している。下川は、洞窟及びその周辺の地質を観察し、洞窟の成因を海蝕によると考え、来年度以降の地質調査地点の決定を行った。 以上、作品の制作年代の確定など、本研究の目的に関し、複雑な状況ゆえに、必ずしも容易には明らかにできないだろうとの予測も出ているが、今後さらに現地調査と、資料検討、さらに参加者及び来年度以降の研究協力者を交えての徹底的な議論を通じて、研究を維持してゆく予定である。
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