2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410017
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小川 勝 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (60214029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右代 啓視 北海道開拓記念館, 学芸員 (30213416)
平川 善祥 北海道開拓記念館, 学芸員 (00132837)
木村 重信 兵庫県立近代美術館, 館長 (50027984)
下川 浩一 産業技術総合研究所, 活断層研究センター, 主任研究員
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Keywords | 北東アジア / 縄文・続縄文時代 / 先史岩面画 / フゴッペ洞窟 / 洞窟地質学 / 北海道 / 年代決定 / 先史美術 |
Research Abstract |
今年度は4年間にわたる計画の最終年度にあたり、研究代表者及び研究分担者は各自のテーマに基づき、それぞれまとめの作業につとめた。また、今年度の研究協力者としてカナダ・ヴィクトリア大学のトーマス・ハイド博士(現在、ドイツ・コットブス大学に客員教授として出張中)を招聘し、この研究でもっとも重要な岩面刻画の年代決定に関し、世界的にも最新の調査方法を駆使して、研究代表者の小川と共同で検討した結果、紀元後1世紀後半〜2世紀後半にかけてという結論を得た。これは、従来考古学的に考えられてきた紀元後3〜4世紀という年代に比べ、150年ないし100年さかのぼるものであり、本研究の学界に貢献する成果のひとつといえよう。 研究成果の発表としてまとめられたものは、今年度はなかったが、各研究者がこれまで4年間の調査研究成果をまとめることに専念し、それは、今年度末に刊行される研究成果報告書として結実した。その主なものをあげると、(1)フゴッペ洞窟の成立年代を、ボーリング調査の結果などから、紀元前後と特定できたこと、(2)その結果、紀元後3〜4世紀の後北C^2・D式土器が主な包含要素である堆積層との関係を精査して、岩面刻画の制作年代を上記のように決定できたこと、(3)岩面刻画作品の画像決定を全面的に見直し、1970年に刊行された考古学的報告書の図面を改訂できたこと、などがあげられる。 今後に残された課題としては、岩面刻画作品の制作動機や意味内容があるが、それは、成果報告書にもられた、この科研の調査研究成果を土台として、制作者の問題と絡めて考察してゆくことになるだろうし、それは、広く多くの研究者に開かれた議論の場となるだろう。
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Research Products
(1 results)