1999 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの近世美術における文人趣味-文人趣味の場としての文房のあり方とその絵画化の問題を中心として-
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10410018
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
相武 啓子 (仲町 啓子) 実践女子大学, 文学部, 教授 (80141125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 敦 東京国立博物館, 学芸部」・東洋課, 主任学芸員 (50193644)
玉蟲 敏子 静嘉堂文庫美術館, 主任学芸員
宮崎 法子 実践女子大学, 文学部, 教授 (20135601)
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Keywords | 明清の文人趣味 / 江戸時代の絵画 / 16〜18世紀東アジアの木版 / 江戸時代の文人趣味 / 明清の絵画 / 16〜18世紀東アジアの陶磁器 / 16〜18世紀東アジアの文物の流通 / 江戸時代の中国趣味 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて秋田蘭画関係作品の調査研究を行ったのに加えて、柳澤淇園と池大雅の作品、版本類、特に『芥子園画伝』の唐本とその河南楼が出した和刻本、『圖繪宗彝』の唐本と和刻本、『八種画譜』の唐本と和刻本、『十竹齋書画譜』の唐本と明治以降の和刻本、『十竹齋箋譜』、『蘿軒変古箋譜』、さらに17,8世紀に舶載された詩箋類などの調査研究を行った。主な調査場所は、東京芸術大学、大東急記念文庫、東京大学、東洋文庫、内閣文庫、千葉市立美術館、町田国際版画美術館、都立中央図書館、静嘉堂文庫、東京都組田家、兵庫県藪本家などである。また台北故宮博物館では、明代絵画数点の特別観覧を行い詳しく調査するとともに、同館学芸員との意見の交換を行った。上記のような研究活動によって、従来のような様式史中心の日中絵画の比較・分析が見落としてきた、歴史的社会における造形活動の意味を問うという試み、つまり、16、17、18世紀の東アジア文化圏のなかでの日本と中国の関係を問い直しながら、明・清代中国の社会構造と絵画活動の関わり、近世日本における中国文化受容と変容を日本の社会構造の実態に即しながら追う、という所期の目的はかなりの成果をあげつつある。特に版本類の詩箋類を考察の対象としたことは、日中の享受者層の段階的な広がりを捉えるのに効果的であった。版本研究において、唐本が何時、誰によって将来され、誰が所有したか、それを誰がどのような形で和刻し、またそれを所有したのは誰か、という視点は、今まで看過されてきた。そのような社会史的側面も含んだ版本類調査研究の一部は、近日公にされる予定である。なおそのは他の本年度の成果は、研究代表者及び分担者の執筆した論文等で発表している。
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