2000 Fiscal Year Annual Research Report
社会的知性としての信頼-信頼の社会的背景と心理プロセスに関する総合的研究
Project/Area Number |
10410029
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
ALAN S Millet 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00281767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 庸介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (80322775)
山岸 みどり 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
|
Keywords | 社会的知性 / 信頼 / 社会的不確実性 / コミットメント関係 / 機会費用 / 取引費用 / 集団主義 / 社会的交換 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、(1)これまでの研究の中で示唆されてきた信頼と社会的知性との関係を明確化すると同時に、(2)信頼を支える社会的知性が信頼以外のどのようなこころの特性を支えているのか、また(3)社会的知性のタイプと社会関係の性質との間に如何なる関係が存在するかを明らかにすることにある。11年度までに、関係非拘束的行動および関係拘束的行動予測の正確さ、他者の表情認知の正確さ、集団内部での人間関係認知の正確等の、社会的知性の各種の指標作りの作業が進められ、12年度にはこれらの指標を用いた実験が開始された。これらの実験では、社会的知性の各種の指標と社会的交換関係における行動の特徴との間の関係が検討された。また昨年度に開始された社会的知性と社会的交換ヒューリスティックとの関係に関する実験も進められ、新たに、各種の社会的知性の指標と自己高揚/自己卑下傾向との関係を調べる実験も開始された。これらの実験の多くは現在なお継続中であり、最終的な実験結果はまだ示されていないが、いくつかの興味ある知見が示唆されつつある。例えば実験ゲーム状況で相手の視点を取得し、その視点に基づいて自分の行動を対応させる能力と、質問紙により測定された共感性のいくつかの側面との関係(ただし、関係が全く存在しない側面もある)、実験状況の現実性が合理的選択ではなく社会的交換ヒューリスティックにもとづく行動を促進すること、集団状況の認知が一般的互酬性の期待を生み出し、その期待にもとづく内集団ひいき行動が生まれること、信頼関係の形成に際してはリスクテイキングが必要とされること、などである。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yamagishi, Toshio: "The group as the container of generalized reciprocity"Social Psychology Quarterly. 63(2). 116-132 (2000)
-
[Publications] Kiyonari, Toko: "Social exchange and reciprocity : Confusion or a heuristic?"Evolution and Human Behavior. 21(6). 411-427 (2000)
-
[Publications] 山岸俊男: "社会的ジレンマ-「環境破壊」から「いじめ」まで"PHP出版. 227 (2000)
-
[Publications] Yamagishi, Toshio: "It takes venturing into a tiger's cave to steal a baby tiger : Experiments on the development of trust relationships. In Werner Raub and Jeroen Weesie (eds.), The management of durable relations."Thela Thesis Publisher. 24 (2000)
-
[Publications] Yamagishi, Toshio: "Trust as a form of social intelligence. Pp.121-147 in Robin Cooper and Karen S.Cook (eds.), Trust in society."Russell Sage Foundation. 27 (2001)
-
[Publications] 斎藤友里子: "「日本人の不公平感は特殊か」 Pp.127-149. 海野道郎(編)日本の階層システム(2)公平感と政治意義"東京大学出版会. 23 (2000)