1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410048
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 全夫 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (40041016)
|
Keywords | 高齢者移動 / 事後評価調査 / 地域組織化 |
Research Abstract |
日本の高齢者は、定住志向が強く、自分の老後は長年住み慣れた場所で子供によって支援されて生活するという生活様式を持続してきた。しかしながら、近年は子供を親元へ呼び戻すよりも、むしろ子供の元へ呼び寄せられる現象や、定年退職後に新天地に移住したり、介護が必要になった時点で老人福祉施設へ入所するといった高齢者の地理的移動が生まれていることが注目されている。これはさまざまな高齢者をめぐる地域計画を立てなければならない市町村にとっては、定住高齢者を想定していただけに対応が難しい課題を抱えることになると考えて、その調査方法を考案した。 その上で、高齢者の地理的移動がむしろ当然視されているアメリカ社会で、どのような高齢者の地域組織化が進められているのかを、実態に即して、調査の枠組みと比較調査の可能性について示唆を得るために、カリフォルニア大学ロサンゼルス校と、コロラド大学コロラド・スプリングス校の研究者に調査案を提示し、批評を受けた。その結果、直ちに実態の比較研究には種々の困難があることが分かった。またこれから高齢者サービスのエバリュエーション・リサーチ(事後評価調査法)に高齢者の地理的移動の観点を取り入れることが必要になるという共通認識を得て、今後その枠組みについてさらに細部を修正することとなった。 さらに日本側の市町村において、実際に高齢者移動がどのような動向にあるのかを、平成2年と平成7年の国勢調査結果の入力とコーホート分析によって確かめる作業を行い、高齢者の転入超過が推定される市町村の確定作業に入った。さらにその一部については、さらに詳しい情報収集を始め、次年度の高齢者転入超過市町村における地域組織化の課題分析の準備を進めた。
|
Research Products
(1 results)