1999 Fiscal Year Annual Research Report
異地域間比較に基づく社会・国家関係の研究-第三世界の「強い社会」、その持続と変容
Project/Area Number |
10410056
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
加納 弘勝 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20214497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 哲 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (20167068)
三澤 健宏 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (20297112)
小倉 充夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40055322)
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Keywords | 暴動 / クルド / 映像データ / 民主化 / サパティスタ蜂起 / 民衆運動 / 済州島 |
Research Abstract |
第三世界の4地域における国家と社会関係を、暴動などを軸に比較するための資料整理などを行った。研究分担者は、それぞれの地域における現状の整理や、歴史的な視野の整理を進めた。 中東地域ではクルドを中心に分離運動を追うとともに、本研究の第2の課題でもある映像データによる運動の整理にも着手した。クルドの分離運動、祭りの実態、また、チュニジアの結婚式の様子など、テレビなどで放映されたデータを整理し、文字データの補完を検討した。アフリカ地域では、90年後半になると、抑圧体制の崩壊により各民族の主張が相互に対立するなど、民族扮装が多発するようになった。他方で、政権政党の肥大化により、占拠による政権交代の可能性が低下した。ザンビアと南アフリカを中心に検討した。ラテンアメリカ地域では、先住民マイノリティの状況、同化・教育政策などに反映される国家と先住民との歴史的関係を検討し、チアパス・サパティスタ蜂起の背景に関する分析をする上での準備作業を行った。メキシコ革命以降の中央政府とチアパス地方の関係などを検討した。アジア地域では、昨年(1999年)以来、東アジアNIEsとりわけ韓国・台湾における政治的激動の背後には、冷戦期東アジアとりわけ朝鮮半島・台湾における大衆暴動の歴史的文脈が深く関係しているのではないか、という仮説の下に第二次世界大戦前後からの脱植民地化の過程で民衆運動に加えられた理不尽な暴力に起因する衝突にかんする資料調査を中心に、一定の認識の蓄積を図りつつある。昨年、今年と韓国で注目された朝鮮戦争中の米軍による非戦闘員の虐殺や、開戦直後、韓国軍が収監中の政治犯数千名を米軍の黙認の下に集団虐殺したこと、済洲島四三事件の関係者が数百名含まれていたことは、あらためてこの時期の人民抗争が構造的・関連的なものであったかを物語っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小倉 充夫: "アフリカの民主化と選挙"海外事情. 48.4号. 2-16 (2000)
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[Publications] 加納 弘勝: "社会学(国際化)"福祉士養成講座編集委員会. 12 (1999)
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[Publications] 三澤 健宏: "発展途上国の女性移動-その特性と移動要因"早瀬保子(日本貿易振興会、アジア経済研究所. 32 (1999)