2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410073
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
麻生 誠 放送大学, 教養学部, 副学長 (00014689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 輝政 名古屋大学, 高等教育研究センター, 教授 (90117060)
米川 英樹 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50116133)
大塚 豊 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (00116550)
岩永 雅也 放送大学, 教養学部, 教授 (30151749)
四方 義啓 名城大学, 理工学部, 教授 (50028114)
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Keywords | 才能教育 / 才能者(児) / 能力 / 飛び級 / 飛び入学 / 適応 / 才能観 |
Research Abstract |
本研究は、わが国ではほとんどなされてこなかった才能教育に関する実証的な知見を得るための三か年にわたる総合的研究である。その最終年度にあたる平成12年度は、前年までに蓄積された才能教育先進諸国の状況と理論的背景をもとに、わが国の現状を理解するための実態調査の実施を中心的な課題とした。調査としては、才能者本人に対する調査および彼らの観察者、つまり親や教師に対する調査という二つのタイプが考えられたが、テーマの性格から、また技術的な制約から、教員に対する調査だけを実施することとした。「才能者(児)の学習状況に関する実態調査」と名付けられた今回の調査では、才能者(児)の定義を暫定的に「国語または数学的分野で上級学年でも優秀な成績を収めうる者」とした上で、担当する児童・生徒の中の該当者の有無、いる場合には、彼・彼女らの学習状況や友人関係、教員との関係等日常生活の状況、彼・彼女らの優秀性のあり方、教員自身の才能観、飛び級や飛び入学を含む才能教育に対する意見、等々を尋ねた。調査時期は平成12年9〜10月、サンプルは層化クオータ法で全国から458校を選び、小学校教員912名(各学年担任6名×152校)、中学校教員912名(国語・数学担当計6名×152校)および高校教員924名(国語・数学担当計6名×154校)の計2,748名に調査票を送付した。有効回収票は1,112、回収率は40.5%であった。その結果、(1)小・中学校でそれぞれ約100名、高校では約150名の教員が担任・担当する子ども達の中に当該才能者(児)がいると答えている、(2)それらの才能者(児)は、必ずしも集団不適応状態になく、むしろ適応性は高い、(3)飛び級、飛び入学ではなく、現行の学年制を維持しつつ一部の科目について進度別のプログラムを用意する方向が最も選択されている、等々の知見が得られた。結果は近刊の報告書で概略紹介するが、詳細については今後さらに多変量解析等の分析を行い、関係学会等で報告、論文発表を行う予定である。
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