1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桜井 万里子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安成 英樹 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60239770)
樋脇 博敏 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (70251379)
高山 博 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90226936)
深沢 克己 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60199156)
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Keywords | コミュニケーション / 社会的結合 |
Research Abstract |
本研究は、ヨーロッパの歴史世界の形成過程を「コミュニケーション」という視角から考察することを主眼とする。すなわち、本研究は、人口に膾炙しているこの「コミュニケーション」の語にあらためて着目し、昨今歴史学において急速に発展しつつある新たな理論・方法論を援用することで、ヨーロッパの歴史世界をコミュニケーションという視座から読み解いてみようという試みである。「コミュニケーション」という語の意味するものは広範にわたるが、本研究では当初以下の3つの領域を設定した。第1に人的・物的な交通手段としてのコミュニケーションであり、ここでは、陸上・水上交通による運輸・輸送手段の歴史的展開が考察すべき問題となる。第2には、人的・物的な移動を随伴せずに実現するコミュニケーション、つまり情報授受の様態についてである。第3には、よりミクロなかつ濃密な関係としての人的結合形態(歴史学の用語で言うところの社会的結合関係=ソシアビリテ sociabilite)のなかで成立するコミュニケーションの形である。 今年度は、これら3領域およびその隣接諸科学の最新の事例研究・学説史を遍く収集し、その検討を行った。上記作業の過程で、最近の歴史学界が、第3の領域、すなわち社会的結合関係の検討に関心を集中させており、これに対して第1の交通史、第2の情報伝達の歴史については、祀利刮目すべき研究が比較的手薄であること、さらには3つの分野を総合するようなコミュニケーション論がきわめて少ないことが明らかとなった。次年度は、こうした研究動向を踏まえた上で、研究代表者・分担者がおのおののフィールドで個別研究を進め、得られた成果を研究会等で報告する予定である。
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