2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410091
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 徹 早稲田大学, 文学部, 教授 (80116665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 宏一 早稲田大学, 文学部, 教授 (30063788)
小倉 欣一 早稲田大学, 文学部, 教授 (10058050)
野口 洋二 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063549)
井内 敏夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (60120903)
村井 誠人 早稲田大学, 文学部, 教授 (60130879)
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Keywords | ヨーロッパ / 民族統合 / 国民統合 |
Research Abstract |
四年計画の4年目である平成13年度においては、全体の構成の検討を行い、最終報告書を作成した。 研究分担者の課題は、前田が古代メソポタミアにおける民族統合、小林が古代ローマにおけるギリシア人、野口が中世カトリック教会における分化と統合、小倉が神聖ローマ帝国と帝国都市、大内がドイツ統合、松園がイングランドとスコットランドの統合、井内がポーランドとリトアニアの統合、森原が近世フランスにおける文化統合と「文芸共和国」、村井が北欧における国家統合と分化、竹本が合衆国黒人運動における分化と統合であった。研究成果報告書は印刷される予定であるので、詳細はそれに譲り、研究成果の一側面を示す。 古典古代にはじまるヒューマニズムの理念、ローマ教会に体現される普遍的教会の理念とローマ帝国理念、さらには、人間理性の覚醒と「文芸共和国」という国境を越えた文化共同体、それらは、普遍的価値に裏打ちされたヨーロッパを求める動きととれる。宗教改革も、近代の国民国家の創成も、ヨーロッパを普遍的なものに基盤を置きたいという動きであって、統合の場を破壊する動きではないと見做しうる。また国民国家・民族国家形成以後の近代・現代の動向、一見分化の動きに見えるものが、より高度な統一の原理を求めるもしくは補強する意図に起因し、そのなかでのヘゲモニー争いと見做しうる事象といえる。 ヨーロッパは、過去に築かれた伝統的な価値観や政治・社会の遺産の上に成り立っており、その歴史性を脱却してはいないであろう。しかし、歴史は変容を迫るものであり、その新しい事態を見極めることは至難である。そうであっても、この研究で示したような通時的な問題整理、すなわち歴史的考察が不可欠であることは間違いない。
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[Publications] 小林 雅夫: "日本の大学における西洋古典研究"西洋史論叢. 22. 1-7 (2001)
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[Publications] 小林 雅夫: "ローマの軍隊と軍医制度"軍事史学. 37・1. 30-50 (2001)
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[Publications] 竹本 友子: "W. E. B. デュボイスと第二次世界大戦後の公民権運動"早稲田大学大学院文学研究科紀要. 46・4. 73-87 (2001)
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[Publications] 前田 徹: "シュメール人の思考の一断面"早稲田大学大学院文学研究科紀要. 46・4. 3-15 (2001)
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[Publications] 前田徹, Maeda Tohru: "Assyriology : Ancient Near Eastern Studies in Japan"Orient. 36. 35-41 (2001)
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[Publications] 村井 誠人: "オーラ・リーマンとヴィゴ・ヘーロプ-19世紀デンマーク史に対する世代論的理解の実践の一例"IDUN(大阪外国語大学デンマーク語・スウェーデン語). 14. 443-466 (2001)