Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 一彦 名古屋大学, 大学院人間情報学研究科, 教授 (90262930)
粕谷 英樹 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20006240)
桐谷 滋 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90010032)
熊谷 智子 国立国語研究所, 日本語教育センター, 室長 (40207816)
相澤 正夫 国立国語研究所, 言語体系研究部, 部長 (80167767)
吉岡 泰夫 国立国語研究所, 言語変化研究部, 部長 (90200948)
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Research Abstract |
1998年8月7日に第1回の打ち合わせをおこなったのち,当初の予定どおり,音声科学グループとパラ言語情報記述・評価用語彙セット作成グループにわかれて研究を進めた. 音声科学グループの成果として報告すべきものはふたつある.第一に6種類のパラ言語情報(中立,強調,感心,疑い,無関心,落胆)を指定した音声資料を収集し,ピッチ,持続時間,スペクトルに関する音響分析をほどこした.いずれの音響特徴に関しても,パラ言語情報の顕著な影響が観察されることが判明したが,特に,発話の冒頭と末尾の両音節において影響が大きいことを発見した.この成果は,98年12月にオーストラリアで開催された国際会議(ICSLP98,paper#0997)で発表した.また,収集した資料の一部を用いてパラ言語情報の同定実験を実施し,多次元尺度構成法(MDS)による解析をおこなった.その結果は,今回指定したパラ言語情報は三次元の心理空間で表現されうることを示していたので,音響分析によって抽出された音響特徴量を独立変数とした重回帰分析をおこなったところ,心理空間を構成する三つの次元と音響特徴量との間には,非常に高い相関が観察されることが判明した.この成果は99年3月の日本音響学会で発表した.以上の研究は前川が中心となって実施した. 音声科学グループの第二の成果は声質(voice quality)に関する音声科学的検討であり,発声様式(phonation type)に注目した検討をおこなった.無響室内においてパラ言語情報を指定した発話時の声帯振動様式をファイバースコープを用いて観察し,毎秒4500フレームの高速ビデオ画像を収録した.同時に高精度の音声信号を記録し,ARX法による音響分析を施した.このデータは現在,粕谷,前川,桐谷によって分析中であり,その成果の第一報は99年8月の国際会議(ICPhS99)の招待講演として発表される予定である.記述・評価用語彙セット作成グループは,SD法に利用するための評価用語彙を選定するために,過去の音響心理学文献および国語辞典一冊の全形容詞について選定作業を進めている.
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