2000 Fiscal Year Annual Research Report
国語、国史、固有法-法におけるナショナルな自己意識の成立と展開-
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10420001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 浩三 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10142671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 洋一 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00114596)
山田 欣吾 一橋大学, 名誉教授 (70017523)
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
石井 紫郎 東京大学, 名誉教授 (00009797)
村上 淳一 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (80009795)
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Keywords | ローマ / エトノス / 家 / ドイツ / 部族法典 / 身分 / 国史 / 固有法 |
Research Abstract |
本年度は、計画の最終年度であるので、具体的な個別報告とともに、各研究班ごとに総括的な議論がなされ、更に全体での総括的討論が行われた。 個別報告としては、西洋古代の政治体の基本単位であった「家」について、ヘルクラネウム出土の文書を史料に検討がなされ、特権化・差別機能と平準化・上昇機能という「家」の二面性が指摘されるとともに、ローマ人と非ローマ人のようにエトノスを異にする人間の間の関係における、「家」の意味が議論された。 西洋中世初期の部族法典については、その身分編成の解釈をめぐる学説史が考察され、それぞれの学説におけるラテン語とゲルマン語の位置づけや、部族法典と当時の「現実」との関係・距離について、議論がなされた。 中世ドイツの国家形成と「国史」の関係については、10世紀から12世紀ごろまでにドイツで成立した歴史叙述を中心に検討され、それらにおいては、歴史は「ドイツ国」の歴史としてではなく、「ローマ史」・「ローマ帝国の歴史」として書かれていることが、確認された。また、13、14世紀のいくつかの歴史叙述を素材に、そこにおける「ドイツ像」が検討され、地理的空間としてドイツが観念されていても国制との結びつきは弱いこと、ドイツ人意識の具体的ありかたは地方によって多様であることが指摘された。 日本史については、明治日本における『大日本史料』編纂などの修史事業の検証を通じて、近代日本における「国史学」の形成過程とその特徴が論じられた。
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Research Products
(35 results)
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[Publications] 小川浩三: "対論を求めて-中世法学と教皇立法権-"小川浩三(編)『北大法学部ライブラリー6:複数の近代』(北海道大学図書刊行会). 3-67 (2000)
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[Publications] 林信夫: "ローマ社会における「帳簿」と法について"立教法学. 55号. 90-126 (2000)
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[Publications] テオドシウス法典研究会: "(翻訳)テオドシウス法典(Codex Theodosianus)(10)"立教法学. 56号. 127-159 (2000)
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[Publications] 石川武: "ザクセンシュピーゲルにおけるヘールシルト制-同書(テキスト)成立史との関連において-(1)"北大法学論集. 50巻6号. 27-73 (2000)
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[Publications] 石川武: "ザクセンシュピーゲルにおけるヘールシルト制-同書(テキスト)成立史との関連において-(2)"北大法学論集. 51巻1号. 55-95 (2000)
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[Publications] 石川武: "ザクセンシュピーゲルにおけるヘールシルト制-同書(テキスト)成立史との関連において-(3)"北大法学論集. 51巻2号. 53-110 (2000)
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[Publications] 石川武: "ザクセンシュピーゲルにおけるヘールシルト制-同書(テキスト)成立史との関連において-(4・完)"北大法学論集. 51巻3号. 1-58 (2000)
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[Publications] 田口正樹: "中世後期ドイツの領邦と家門-Levold von Northofの『マルク伯年代記』を素材として"小川浩三(編)『北大法学部ライブラリー6:複数の近代』(北海道大学図書刊行会). 69-106 (2000)
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[Publications] 田口正樹: "(書評)池谷文夫著『ドイツ中世後期の政治と政治思想』(刀水書房)"西洋史研究. 新輯29号. 151-158 (2000)
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[Publications] SATO, Shoichi: "The Merovingian Accounting Documents of Tours : From and Function"Early Medieval Europe. Vol.9-2. 143-161 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ディートマル・ヴィロヴァイト「古き良き法について(1)」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻1号. 178-203 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ディートマル・ヴィロヴァイト「古き良き法について(2・完)」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻2号. 172-196 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ディートマル・ヴィロヴァイト「公的刑法の成立」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻2号. 197-212 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "恩師ステン・ガグネアの死を悼む"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻2号. 227-233 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ヴァルター・デーメル「ドイツの中小領邦における啓蒙絶対主義」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻2号. 51-86 (2000)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ヴァルター・デーメル「一八世紀のヨーロッパ貴族」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻3号(発表予定). (2001)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ヴァルター・デーメル「一八世紀の行政、官僚制、法」(発表予定)"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻4号. (2001)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ヴァルター・デーメル「ヨーロッパ人の目から見た日本人と中国人の外貌(1)」(発表予定)"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻3号. (2001)
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[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)ヴァルター・デーメル「ヨーロッパ人の目から見た日本人と中国人の外貌(2・完)」"法学雑誌(大阪市立大学). 47巻4号(発表予定). (2001)
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[Publications] 神寳秀夫: "(書評)池谷文夫著『ドイツ中世後期の政治と政治思想』(刀水書房)"史学雑誌. 110編2号. 122-131 (2001)
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[Publications] 神寶秀夫: "絶対主義時代の法形態と立法目的-多様性と秩序化、全体化と個体化"石井三記(編)『近代法の再定位』(創文社). 5-35 (2001)
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[Publications] 神寶秀夫: "問題と考察"石井三記(編)『近代法の再定位』(創文社). 250-255 (2001)
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[Publications] 神寶秀夫: "ドイツ領邦絶対主義形成過程における中間的諸権力(中)-1"史淵. 138輯(発表予定). (2001)
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[Publications] 神寶秀夫: "(書評)西川洋一著『一三世紀の君主立法権概念に関するノート(一)〜(三・完)』国家学会雑誌112巻1・2号、5・6号、7・8号"法制史研究. 50号. 364-370 (2001)
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[Publications] 石部雅亮: "法曹養成制度のドイツ型"日本法社会学会(編)『法社会学:司法改革の視点』(有斐閣). 111-121 (2000)
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[Publications] 石部雅亮: "法科大学院構想と法学教育改革-ドイツ法学史よりみた場合"法律時報. 897号. 75-78 (2000)
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[Publications] 西川洋一: "近代法の再定位のための七つの試みに接して"石井三記(編)『近代法の再定位』(創文社). 223-248 (2001)
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[Publications] 村上淳一: "<差異の寄生者>としての個人-ルーマンを読む"桐蔭法学. 7巻1号. 1-26 (2000)
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[Publications] ISHII, Shiro: "Beyond Paradoxology"Japan Review-Bulletin of the International Research Center for Japanese Studies-. No.12. 75-92 (2000)
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[Publications] 小川浩三(編): "北大法学部ライブラリー6:複数の近代"北海道大学図書刊行会. 385 (2000)
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[Publications] 佐藤彰一: "ポスト・ローマ期フランク史の研究"岩波書店. 344 (2000)
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[Publications] 佐藤彰一 ほか(編著): "西洋中世史研究入門"名古屋大学出版会. 360 (2000)
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[Publications] 佐藤彰一(編): "西洋中世史セミナー講演報告集"名古屋大学大学院文学研究科西洋史学研究室. 150 (2000)
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[Publications] 石部雅亮(編訳): "ヤン・シュレーダー『トーピク・類推・衝平-法解釈方法論史の基本概念』"信山社. 173 (2000)
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[Publications] 村上淳一: "システムと自己観察-フィクションとしての<法>"東京大学出版会. 212 (2000)