1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10430003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 正寛 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40114988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 宣昭 九州大学, 経済学部, 助教授 (50304720)
川越 敏司 埼玉大学, 経済学部, 助手 (80272277)
石原 秀彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助手 (20292857)
瀧澤 弘和 東洋大学, 経済学部, 講師 (80297720)
池田 信夫 国際大学, グローバル・コミュニケーション・センター, 助教授 (00308561)
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Keywords | バザール方式 / O-ring theory / NGO / 標準化のコーディネーター |
Research Abstract |
本年度は、現在進行している情報革命(Digital Revolution)に関して、様々な側面で興味深い論点が提示された。以下では、「アーキテクチャー構築を前提としたモジュール化」をその一例としてあげる。 経済学的には、単なる情報技術の進歩のみならず、それが経済の資源配分やガバナンスをどのように変化させるかが重要となる。近年のアーキテクチャー構築を前提としたモジュール化は、生産プロセスにおける分業と各分業間のコーディネーションという、アダム・スミス以来の問題に対して、新しい題材を提供する。 近年のこの分野の研究は、中央の調整メカニズムの強化や、関係者間のコミュニケーションの緊密化といった、企業内や長期的取り引きに関するものが多かった。 それに対して、Eric S.Raymondの“The Cathedral and the Bazaar"に見られるバザール方式や標準化に基づくモジュール化は、新たなコーディネーションメカニズムの可能性を提示する。そこでは、公開されたアーキテクチャーに基づきインターフェイスが共通化・標準化され、各分業プロセスがモジュール化される。結果として、分業間の取り引きに市場原理が導入される等、より分権的な分業体制が可能となった。集権的な中央のコーディネーションの強化が個々の分業単位の自立的誘因を抑制するのに対して、ここではインターフェイスの共通化のみを条件に、個々の分業単位のより自立的な活動が許されている。こうした自立的な活動は各分業内の技術進歩を促進することが期待される。ちなみに、通信分野で普及しているIPシステムも同様の特徴を有すると考えられる。 こういった分権的なシステムの効率性や従来のコーディネーションとの比較については、アーキテクチャーについてのネットワークの外部効果なども含め、今後の研究課題の一つである。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 奥野 正寛: "情報化と新しい経済システムの可能性" 市場の役割、国家の役割(青木雅彦、岡崎哲二、奥野正寛編、東洋経済新報社). 69-101 (1999)
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[Publications] Tetsuji Okazaki: "Evolution of Economic Systems: The Case of Japan" The Institutional Foundations of East Asian Economic Development (Y.Hayami and M.Aoki eds.,McMillan). 482-521 (1998)
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[Publications] 瀧澤 弘和: "情報通信革命と企業・市場・社会-ミクロ経済理論の立場から" 経済研究年報. 23. 41-64 (1998)
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[Publications] 堀 宣昭: "Market versus Within-firm Adjustment and Unemployment" 九州大学経済学研究. 66(未定). (1999)
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[Publications] 中泉 拓也: "日米の情報化投資の実証研究に関するサーベイ" 情報化投資のマクロ経済的効果の日米比較報告書(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター). 1-30 (1998)
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[Publications] 中泉 拓也: "80年代後半からの情報化投資の実証研究に関するサーベイ-米国の研究を中心として-" GLOCOM WORKING PAPER(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター). 28. 1-37 (1998)
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[Publications] 小宮 隆太郎: "日本経済21世紀への課題" 東洋経済新報社, 417 (1998)
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[Publications] 奥野 正寛: "産業問題の経済分析" 日本経済新聞社, 256 (1998)
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[Publications] 青木 昌彦: "市場の役割、国家の役割" 東洋経済出版社(未定), (1999)
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[Publications] 池田 信夫: "インターネット資本主義革命" NTT出版社, 200 (1999)