2000 Fiscal Year Annual Research Report
協調問題解決システムの構築をめざして:規範と制度の共進化のネットワーク環境における実験経済学アプローチ
Project/Area Number |
10430004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
有賀 裕二 中央大学, 商学部, 教授 (40137857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 弘和 東洋大学, 経済学部, 講師 (80297720)
川越 敏司 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 講師 (80272277)
小田 宗兵衛 京都産業大学, 経済学部, 教授 (40224240)
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Keywords | 華厳ゲーム / 進化ゲーム / ポリャ壺関数 / チープトーク実験 / ネオロジズムプルーフ / 計算機実験 / 強化学習 |
Research Abstract |
これまで協調問題にかんして主として標準理論の枠内でチープトーク実験を行ってきたが、有賀は昨年度よりプログラム開発を担当、本研究計画目的の一つ「ネットワーク通信の可能な日本語実験環境の開発と新環境による協調ゲームの実験」を試行してきた。今年度は、昨年度より有賀自身が提案した「華厳ゲームAvatamsaka Game」(理論上解が無限である)の理論化ならびにWeb上の実験を重点的に行いほぼ所期の目的を達成した。(1)とくにWeb実験については日本ならずドイツ、米国の三カ国の実験を成功させ、有賀が開発したゲームプログラムが国際的に有効であることを実証できた。また、米国Marquette大学心理学科のStephen J.Gaustello教授は昨年秋以来継続的に実験協力を行い、本研究期間終了後も研究を続行する予定である。インターネット上の実験用プログラムはデータベースソフトウェアFile Maker Proを使用し「二戦略二人プレイによる繰返しゲーム」ならいかなる利得係数でも可能であり、Internet Explorer(ver.4.0以降)があれば日本語、英語環境どちらの環境でも利用可能である。(2)「華厳ゲーム」は理論的にも魅力あるゲームである。まず、Cooperの定義で標準的な「協調ゲーム」の性質のうち「補完性」の欠けているゲームであることを発見した。また、華厳ゲームの繰返しは復讐などの心理的要因を考慮して「進化ゲーム」として定式化できる。さらに、サンタフェ研究所のArthurが依拠する「ポリャ壺関数の確率過程」としても代替的解釈が可能である。この研究の一部は、平成12年11月27日、Frankfurter Volkswirtschaftliches Kolloquiumで講演。このレクチャーがきっかけとなり12月12日、フランクフルトでの「華厳ゲーム実験」を実現した。華厳ゲームが従来のゲームでは表すことのできないディレンマを表示し、このディレンマが国際的に共通のものであることを確認できた。その他の研究実績。小田は岩崎敦の協力を得て、計算機上でのチープトーク実験、川越・瀧澤は従来のチープトーク実験を遂行し、平成12年年5月19日にはニューヨークで開催された実験経済の専門的学会Economic Science Association年次大会でそれぞれ研究発表を行い、本年度計画を遂行した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Aruka,Y.: "Avatamsaka Game Structure and It's Design of Experiment"Working Paper Series, The Institute of Business Research, Chuo University. No.3. 1-29 (2000)
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[Publications] Aruka,Y.: "Avatamsaka Game Structure and Experiment on the Web"Aruka,Y.(ed.), Evolutionary Controversies in Economics, Springer Verlag Tokyo, 2001 forthcoming. (掲載予定). (2001)
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[Publications] S.H.Oda,K.Miura,K.Ueda and Y.Baba: "The application of cellular automata and agent model to network externalities in consumers'theory"W.Barnett,C.Chairella,S.Keen R.Marks and H.Schnabl (ed.), Commerce, Complexity and Evolution, New York : Cambridge UP. 351-370 (2000)
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[Publications] 小田宗兵衛: "自らを外から見る-システムから脱出する能力"伊藤宏司(編著)『知の創発…ロボットは知恵を獲得できるか』、NTT出版. 152-165 (2000)
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[Publications] 八杉満利子,小田宗兵衛: "体系からの脱出:証明論による解析"科学基礎論研究(日本科学基礎論学会). 第96号(掲載予定).
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[Publications] Aruka,Yuji (ed.): "Evolutionary Controversies in Economics : A New Transdisciplinary Approach"Springer Verlag Tokyo (forthcoming). 280 (2001)