2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10440038
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
上村 豊 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50134854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 義之 千葉大学, 理学部, 教授 (70004405)
塩谷 亘弘 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30087415)
坪井 堅二 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50180047)
岩崎 克則 九州大学, 数理学研究院, 教授 (00176538)
原岡 喜重 熊本大学, 理学部, 助教授 (30208665)
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Keywords | 非線形逆問題 / 特異積分方程式 / 個体数ダイナミクス / 反応拡散方程式 / 逆分岐問題 / Wiener-Hopf作用素 |
Research Abstract |
前年度までに,ある種の非線形逆問題の解の(局所的な)自由度は乗法的Wiener-Hopf作用素と呼ぶところの積分作用素のシンボルの複素半平面における零点の個数に一致するという原理を確立し,逆分岐問題等に適用してきた.本研究の3年目にあたる今年度は,生物モデルへの応用を考え,空間的に非一様な拡散をもつ一種個体数を非線形反応拡散方程式で記述するときの非線形性が個体数データから決定できるかという問題に取り組んだ. 生物個体のダイナミクスをモデル化する際の生物個体数の増加に係る非線形性は,増加の自己制御の項(密度効果など),他の生物に依る捕獲の項,移入・移出の項などを適切に見積もるように定める必要があるが,従来の研究ではモデルから得られる結果が定性的に現実の問題を説明できるか否かにより,モデルの妥当性を検証してきた.本研究においては,その検証法やいわゆるロジスティック項の根拠に疑念を抱き,逆問題の手法を用いて,定常状態における中心個体数と増殖率の関係の観測から生物個体数の増加に係る非線形性を決定する方法の妥当性を,逆分岐問題に絡めて考察した.その結果,(局所的には)上で述べた中心個体数と増殖率の関係を実現する非線形性は存在するが,一般には一意性は成立せいず,有限偶数次元の自由度を持ちうることが証明された.もしこの自由度が0であれば非線形性は一意に定まるので,上の観測量により非線形性を定めることができる.逆に,自由度が2,4,6,...の場合にはモデル化の際に別の非線形項を用いても同じ観測結果になるので,モデルの妥当性は保証されない.この自由度は生物の住む環境で決定され,数学的には線形化固有値問題の第1固有値の複素べきで書かれる複素関数の複素半平面における零点の個数に一致する. 以上の結果および自由度を定める環境の要因については,研究発表の項に記載した論文(J.Math.Biol.誌に受理)に発表した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Kamimura: "Inverse problems modeled by a nonlinear Abel integral equation"JSAEM Studies in Applied Electromagnetics and Mechanics. (to appear).
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[Publications] K.Iwasaki and Y.Kamimura: "Inverse bifurcation problem, singular Wiener-Hopf equations, and mathematical models in ecology"J.Math.Biology. (to appear).
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[Publications] K.Iwasaki and Y.Kamimura: "Inverse bifurcation problem in mathematical ecology and related Wiener-Hopf Equation"数理解析研究所講究録. (to appear).